地方で働くことや暮らすことに、これまで以上に注目が集まっています。
都会のスピード感から少し離れ、地域に根ざした新しい働き方を探す人も増えています。そんな中、広島で始まった新しい取り組みが話題を呼んでいます。
叡啓大学が中心となって始動した「ひろしまバリューシフトプログラム」は、都市圏で活躍してきたビジネス人材が広島に移り住み、地元企業と協力して新しい価値を生み出すプロジェクトです。映像やIT、建設、マーケティングなど多様な経験を持つ人たちが、半年間のプログラムを通じて企業の課題解決に挑戦しています。
この取り組みの特徴は、ただ地方に移住して働くのではなく、「学びながら挑戦する」点にあります。週に1日は大学でのゼミを受け、課題を共有しながら知識を深め、残りの日は現場で実践を積むという仕組み。地域に新しい風を吹き込みながら、働く人自身も次のキャリアを見つめ直す時間となっています。
都市と地方をつなぐこのプロジェクトが、これからどんな変化をもたらしていくのか注目されています。
都市と地方をつなぐ新しい仕組み「ひろしまバリューシフトプログラム」

広島に新しい風を吹き込もうという取り組みが始まっています。
その名も「ひろしまバリューシフトプログラム」。このプログラムでは、東京や大阪など都市圏で働いてきた人たちが“客員研究員”として広島に移り住み、地元企業の課題解決に挑戦します。
受け入れ先となるのは、地元の旅行会社、建設会社、自動車販売店、商社、IT企業など、業種も規模もさまざまな企業です。参加者はこれまでに培ったスキルや経験を生かし、新しい商品やサービスの開発、デジタル化の推進、広報やマーケティングの改善などに取り組みます。
一方で、企業側にとってもこの取り組みは大きなチャンスです。都市で培われたノウハウを取り入れることで、これまでになかった発想や働き方が生まれるかもしれません。
“移住”という言葉にとどまらず、「人と地域が学び合う仕組み」として、広島の企業と都市の人材をつなぐ新しいモデルが少しずつ形になりつつあります。
学びながら働く——ゼミでの“実践型リカレント教育”
このプログラムのもう一つの特徴が、「学びながら働く」という仕組みです。
参加者は週のうち4日を企業での実務にあて、残りの1日は叡啓大学で行われるゼミに参加します。半年間にわたって全24回実施されるゼミでは、企業の課題や現場での取り組みを共有しながら、大学の教員や他の客員研究員と議論を重ねていきます。
ゼミの内容は、単なる座学ではありません。
実際のプロジェクトの進行状況をもとに、課題をどう整理し、どんなアプローチで解決につなげるかを考える“実践型”の学びが中心です。異なる業界や職種の人が集まるからこそ、互いの視点が刺激となり、新しい発想や気づきが生まれるのもこの場ならではです。
さらに、この学びの場は企業だけでなく、参加者自身のキャリアにも深く関わります。
都市から地方へと環境を変え、これまでの経験をいかに活かすか、自分の価値をどう再定義するか。
それぞれが自分の仕事を見つめ直し、次のステップへと進むきっかけにもなっています。
半年後の成果発表では、企業の変化だけでなく、働く人自身の成長も見えてくるのかもしれません。
