
ヘブンといい感じだった同僚記者・イライザ役のシャーロット・ケイト・フォックスさんプロフィール写真
【画像】えっ「メチャクチャ美人やん」「シャーロットさん似てるかも」 コチラが『ばけばけ』ヘブンが惚れてる(?)女性記者のモデル人物です
ヘブンと「いい感じ」と言われていたが
2025年後期のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』は『知られぬ日本の面影』『怪談』などの名作文学を残した小泉八雲(パトリック・ラフカディオ・ハーン)さんと、彼を支え、さまざまな怪談を語った妻の小泉セツさんがモデルの物語です。第5週では、ついに主人公「松野トキ(演:高石あかり)」の未来の夫「レフカダ・ヘブン(演:トミー・バストウ)」が、英語教師として松江市にやってきました。
23話では、松江の美しい朝の風景に感動したヘブンが、その情景を夢中で手紙に書き綴っています。手紙のあて先は、第10話(1886年時点)で出てきたヘブンの新聞社の同僚で、彼と「いい感じ」だった女性「イライザ・ベルズランド(演:シャーロット・ケイト・フォックス)」です。
ヘブンはイライザの写真を見ながら、「日本滞在記が書けたら すぐにアメリカへ帰る」「そして 君に一番に読んでもらう」と語っていました。どうやら、ヘブンは彼女に相当ほれ込んでいるようです。
1890年時点のヘブンは日本に長居する気はない様子ですが、彼がのちにトキと結婚して日本で暮らすことは確定しています。イライザへの想いは、どこかのタイミングであきらめてしまうのでしょうか。
※ここから先の記事では『ばけばけ』の今後のネタバレにつながる情報に触れています。
『ばけばけ』公式サイトの説明によると、イライザは「聡明で、世界を飛び回る行動力を兼ね備えた“パーフェクトウーマン”。ヘブンに日本行きを勧める」人物です。彼女のモデルは、ラフカディオ・ハーンさんと長年親交があった女性新聞記者、エリザベス・ビスランドさんだと思われます。
ビスランドさんは1882年にハーンさんがニューオーリンズで書いた記事に影響され、21歳でハーンさんが勤めていたタイムズ・デモクラット社の記者になりました。その後、ビスランドさんはニューヨークに移住し、80日以内に世界一周旅行をする企画に挑戦するなど、女性ジャーナリストとしてどんどん名をはせていきます。また、類まれな美貌の持ち主としても知られた彼女は、社交界でも花形の存在となっていったそうです。
そんなビスランドさんは、ハーンさんがセツさんと夫婦になった1891年に、ニューヨークでハーバード大学出身の弁護士チャールズ・ウェットモアさんと結婚しました。日本で彼女の結婚の知らせを聞いたハーンさんは、そのときの気持ちを書いた手紙を、アメリカ時代の友人のエルウッド・ヘンドリックさんに送っています。
その手紙には、ハーンさんがビスランドさんの結婚を知って、和服姿でアメリカ先住民の歓喜の踊りを踊ったことや、ハーンさん独自の日本語で2時間近く彼女の結婚について語ったことなどが記されていました。また、この手紙ではハーンさんが尋常中学校の英語の授業で、ビスランドさんの名前を英語名の例として生徒たちに唱和させていたことも判明しています。
ハーンさんに関する書籍では、彼がビスランドさんに恋心を抱いていたのではないかという考察がたびたび語られてきました。彼は愛するビスランドさんの結婚の知らせを聞いて、表向きは喜びながらもかなり動揺していたのかもしれません。
ハーンさんはセツさんと結婚して子供が生まれてからも、手紙で「何度も何度もあなたに手紙を投じた。(中略)たびたびあなたが気に入るような書物を書きたい」(1900年)、「12年前、日本へ行ってほしい、あなたが書いた本が読みたいから、と言ったのを思い出す。もうすぐ日本についての十冊目(『骨董』)が出版される」(1902年)と、ビスランドさんへの想いが感じられる文章を綴っていました。
ヘブンもイライザが気に入るような本が書きたくて日本にやってきたようですが、史実通りならあと1年ほどで彼女は別の男性と結婚してしまいます。その際、どんな反応を見せるのかも気になるところです。
※高石あかりさんの「高」は正式には「はしごだか」
参考書籍:『セツと八雲』(著:小泉凡/朝日新聞出版)、『父小泉八雲』(著:小泉一雄/小山書店)、『小泉セツ 八雲と「怪談」を作り上げたばけばけの物語』(三才ブックス)、『小泉八雲 漂泊の作家ラフカディオ・ハーンの生涯』(著:工藤美代子/毎日新聞出版)
