最新エンタメ情報が満載! Merkystyle マーキースタイル
【MotoGP】マレーシアGPで明暗別れたKTM・アプリリア。その要因はなんだったのか?

【MotoGP】マレーシアGPで明暗別れたKTM・アプリリア。その要因はなんだったのか?

MotoGPマレーシアGPでは勢力図に少し変化があった。KTMがドゥカティの最有力ライバルとなった一方で、最近絶好調だったアプリリアが沈んだのだ。

 アプリリアは幅広いサーキットで一定の競争力を発揮できる万能なマシンを仕上げてきたが、KTMのパフォーマンスは依然としてサーキットとRC16の相性に左右される傾向がある――少なくとも、ここ数戦ではそう見られていた。そしてセパンではその見方が完全に正しいわけではない可能性が示された。

 セパンではアプリリアが凡庸な成績に終わった一方、KTMは頭角を現し、ドゥカティの最有力の対抗馬となった。この明暗を分けた要因は複数あり、チームの努力に起因するものもあれば、コンディションによるものもあった。

■KTMはなぜ速くなった?
予選でのポールとの差:0.362秒
スプリントの勝者との差:5.155秒
決勝の勝者との差:2.676秒
最速ラップとの差:0.438秒

 KTMの2025年型RC16はタイヤの消耗が激しく、特に気温の高いフライアウェイ戦ではそれが顕著にあらわれていた。オーストラリアGPではペドロ・アコスタ(KTM)が好スタートを切り、序盤にはラウル・フェルナンデス(トラックハウス)と首位を争ったが、終盤にはリヤタイヤが完全に限界を迎え、5位に終わった。

 この結果がKTMにとって警鐘となり、マレーシアGPに向けてチームはタイヤマネジメントの改善に全力を注いだ。ライダーたちも協力し、レース序盤からタイヤライフの確保を最優先の課題とした。その成果もあり、気温が金曜・土曜よりも高かった日曜の決勝でも、KTM勢は終盤までペースを維持することができた。

「フロントの接地感を増すために、フロント荷重を少し増やすセッティングを試した。それが多少なりとも功を奏したようだ」とKTMのブラッド・ビンダーは説明した。

「最も重要なのは、スロットル操作を極めて丁寧に行なうことだ。それが最大のポイントだった」

 また、決勝で2位となったアコスタは更に大胆な策に出ていた。電子制御の介入を極限までカットして、自分のスロットルの操作でタイヤマネジメントを行なっていた。

 KTMはタイヤマネジメントの問題を完全に解決する方法を見つけた訳では無いが、この好転は喜ばしいモノと受け取られている。テストライダーのポル・エスパルガロは、次のように語った。

「今のバイクは理想の形ではないが、良いパッケージだ。フィリップアイランドでの問題を解決できたのだから。デグラデーションは良好で、タイヤが苦しい状況でもマネジメントできた。つまり、僕達はミスから学べたということだ」

 そしてKTMにとって良かった点は、ビンダーとテック3のエネア・バスティアニーニが立ち直りつつあるということだろう。予選では18番手、19番手と下位グリッドだったものの、そこから大きくポジションを上げて共にトップ10フィニッシュを果たしている。

■アプリリア苦戦のワケとは?
予選でのポールとの差:0.548秒
スプリントの勝者との差:10.2秒
決勝の勝者との差:19.2秒
最速ラップとの差:1.344秒

 マレーシアGPでアプリリア勢の最上位となったのは、10位の小椋藍(トラックハウス)だ。ファクトリーチームのマルコ・ベッツェッキも11位で、ここ最近のアプリリア陣営の好調さを考えれば、大苦戦と言える。

 今回の苦戦の一因には、路面温度の低さとグリップ不足があるとライダー達は指摘している。例年のセパンに比べて路面温度が低く、想定していたトラクションが得られなかったと彼らは言う。

 日曜は気温が上がったものの、予選で下位グリッドに沈んでいたため、時すでに遅し、といった状態だった。

 レースでも浮上の兆しは見られず、結局、小椋がトップと19秒差の10位でアプリリア勢最上位。1周あたり約1秒のペース差だった。

 ただランキング3位を争っているアプリリアのエースであるベッツェッキに関しては、タイヤ選択を悔やんでいる面もある。彼はフロントにミディアムを選んだが、適切な選択をしていれば、6位になったスプリントと同等のパフォーマンスは出せたはずだと語る。

「オーストラリアと比べると、ここは難しくなるだろうとは思っていた。でも2月以来にここに来てみると、バイクが全う形で機能してくれていると分かった」とベッツェッキは言う。

「テストよりもずっと良くなっていた。だから僕は満足している。もちろんまだすべきことは多いけどね」

「バイクの挙動は結構良かった。改善すべき点もたくさん見つけられたから僕らにとっては良い週末だったと思う。アイデアもたくさんある」

「当然、結果は良いものじゃなかった。でもこれもプロセスの一部だし、これからも改善に取り組んでいくよ」

 なおホルヘ・マルティンの代役として参戦し16位となったテストライダーのロレンソ・サヴァドーリは、アプリリアのペース不足に困惑している様子だった。

「正直、ここで100%プッシュできない理由が分からない。より良い解決策を見つける必要がある」

 サヴァドーリはそう語る。来年2月にはこのセパンでプレシーズンテストが予定されているが、アプリリアのマシンにはどんな変更を加えたいかと訊かれると、彼はこう答えた。

「難しい質問だけど、大きな変更ではないね。MotoGPでは全員の差が非常に小さい。細部の積み重ねが重要だ。今は電子制御に集中していて、そこを改善する必要がある」

 2026年は現行のMotoGPマシン規定で争われる最後のシーズンとなるが、アプリリアはドゥカティに追いつくためには、まだ努力が必要なことを思い知らされる週末になったと言えそうだ。

あなたにおすすめ