MotoGPの2021年王者であるファビオ・クアルタラロ。現在もヤマハで参戦しているが、戦闘力で劣るマシンで悔しい思いも数多く経験している。
先日行なわれた第19戦オーストラリアGPでmotorsport.comはクアルタラロに独占インタビューを実施。キャリア序盤のことなど、様々な出来事を彼に訊いたが、今の状況に満足していないことは明らかだった。
Q:ヤマハはあなたにMotoGPデビューのチャンスを与えたチームです。そのことは契約更新の決断にどれほど影響しましたか?
A: 2022年、僕はヤマハを離れる寸前だった。だけど2021年にタイトルを取っていて、その年のチャンピオンシップもリードしていたから残留を選んだ。そして、マシン開発状況や今年の発展を信じて2026年まで契約を延長した。でも今年は期待通りにはいかなかった。改善が見られなかった。2026年仕様のバイクがより良くなることを願っている。
恩義というよりは、メリットとデメリットを冷静に比較した結果だった。ヤマハにこの2年間を与えることは、明らかに“最後のチャンス”だったとも言える。正直に言えば、少しはエゴもあった。自分の力でこのバイクを再び頂点に戻したかった。
Q:1年前にも同じ話題をしましたが、残念ながら状況はあまり変わっていません。ヤマハがあなたを引き留めるために必要なことは何でしょうか?
A: 解決策を見つけることだ。
Q:それを実現する時間はまだありますか?
A: ほとんどない。ヤマハが何年もかけてできなかったことを、数ヵ月で成し遂げてほしいと願っている。僕自身にも時間は多く残されていない。夢を叶えるための時間は限られているんだ。
Q:ライダー市場の動きは年々早まっています。今年もすでに動き出していますか?
A: 動いているというより、自分の内面と向き合っている。自分が何を望み、何を受け入れる覚悟があるのか。それを考えている段階だ。だけど確かに、マーケットの動きはどんどん早まっている。だから、出遅れるわけにはいかない。
Q:マルク・マルケスやフェルナンド・アロンソ(F1)のように、『今引退しても満足だ』というようなライダーもいます。もし今あなたが引退したら、満足できますか? それともやり残したことがありますか?
A: やり残したことはたくさんある。もちろん、MotoGPライダーになることと世界タイトルを獲ることが最大の夢だったし、それは叶えられたのは嬉しい。でも今の自分のポテンシャルに比べれば、達成したことに満足はしていない。
2021年にチャンピオンになったときよりも、今の方がはるかに良いライダーだと思う。苦しい3年間で、適切なバイクがなくても戦う術を学んだからだ。僕はウィナーだ。引退して満足するためには、まだ成し遂げなければならないことがあると分かっている。
Q:マルク・マルケスが成し遂げたことについてどう思いますか? ホンダでの苦境からサテライトチームに移籍し、再び圧倒的な勝利を収めています。
A: 彼のホンダでの最後の年を見れば、バイクの問題が大きすぎて、もう自分の体を壊したくないと思っていたことが分かる。ザクセンリンクでのドキュメンタリーを観たが、8連勝していた場所で完走すらできなかった。彼の決断と復活は、本当に見本だと思う。
2年前には何もできなかったのに、昨年はレースに勝ち、そして今年は余裕を持って2025年のタイトルを取った。ライダーとしても人としても、素晴らしい。
Q:2年前のあなたは、今ほど経済的な余裕はなかったはずです。マルクの例は、新しい挑戦をする勇気を与えませんか?
A: 2025年と2026年の契約については多くの憶測があったが、実際は過去2年と大きくは変わらない。ヤマハに残ったのは金のためじゃない。マルクは他のワークスチームがすでにライダーを確保している状況でホンダを離れた。だけど、彼が「最も良いバイク」を求めて動いたことは確かに刺激的だ。

