10月29日にスタートした巨人の秋季キャンプ。そこに臨時コーチとして招聘されたのが、巨人OB(2006年~2010年に在籍)で今季途中まで韓国プロ野球の斗山ベアーズで監督を務めていた李承燁(イ・スンヨプ)氏だ。03年のサムスンライオンズ時代に、シーズン56本塁打を記録した「アジアの大砲」が決定力に欠ける古巣の救世主となるのか…。スポーツ紙デスクが解説する。
「今季のチーム打率は2割5分とセ・リーグ1位の数字を残していますが、得点力については首位阪神や2位DeNAの後塵を拝しました。すでに主砲の岡本和真が今オフのMLB挑戦を表明しているので、代わりとなる4番を外部から補強するのはマスト。ただし、国内FA市場にスラッガータイプの選手がいないため、助っ人に頼るしかありません。とはいえ、残留交渉を進めているキャベッジ含めて外国人選手は水もの。それだけに、日本人の4番候補の育成を加速させるために李氏が呼ばれたのでしょう」
主砲候補の名前を羅列してみると、今季途中にソフトバンクから加入したリチャード、六大学3冠王ながら3年目となる今季も1軍に定着できなかった萩尾匡也、ドラフト3位ルーキーで上武大学時代に本塁打王を獲得したことのある荒巻悠、今季3年目にして支配下をつかんだ三塚琉生、育成6位の高卒ルーキーながら3軍でトップの11本塁打を記録した竹下徠空と素材型の選手がゴロゴロ。彼ら「ポスト岡本」の育成のためにレジェンドOBの力を借りるわけだが、球団内外には懐疑的な声も絶えないという。
「韓国球界の伝説的な選手の1人ですが、指導力にはクエスチョンマークが付けられています。コーチ経験がないまま23年に斗山ベアーズの監督に就任するも23年5位、24年4位とレギュラーシーズンで結果を残せませんでした。そして、今季はチームの成績不振を理由にシーズン途中で辞任。指導者としてのキャリアに傷がついたタイミングでのコーチ招聘なのです。日本球界に置き換えるなら、24年にシーズン途中で休養に入ったまま退いた西武の松井稼頭央前監督をコーチとして招聘するようなもの。普通は考えられませんよね? 来季が3年契約の最終年となる阿部慎之助監督も、ワラをもつかむむ思いでラブコールを送ったのでしょう」(前出・スポーツ紙デスク)
はたして主砲育成の一助となるのか。それとも…。

