11月9日に九州場所初日を迎える日本相撲協会が、新番付を発表。幕内2場所目の秋場所、西前頭6枚目で8勝7敗だった草野は東前頭5枚目に。同時に四股名を本名から義ノ富士(よしのふじ)に改名することになった。
師匠の伊勢ヶ浜親方(元横綱・照ノ富士)は、
「『義』の字は本人の希望。(富士は)伊勢ヶ浜部屋はみんな富士が付いてるから」
義ノ富士本人は改名について、先代師匠の宮城野親方(元横綱・旭富士)の勧めであったことを説明。まずは「よしのふじ」の読みが決まり、「よし」の漢字の候補として「義」と「嘉」の2つに絞られた。その結果、
「『嘉』だと中村部屋っぽいので『義』にしました」
義ノ富士は昨年夏場所、幕下最下位格付出でデビュー。十両昇進には5場所を要したが、今年春場所と夏場所は十両で連続優勝。新入幕の名古屋場所は11勝4敗で敢闘賞と技能賞を獲得している。
まずは順調に番付を上げ続けている義ノ富士だが、デビュー前にはすったもんだがあった。
「日本大学相撲部時代は全国学生相撲選手権大会個人優勝(学生横綱)など、全部で9つの個人タイトルを獲得し、元横綱・白鵬の宮城野部屋に入門する予定でした。ところが部屋の力士の暴力問題が原因で、宮城野部屋は部屋ごと伊勢ヶ浜部屋の預かりになってしまった。元白鵬は今年夏場所後に協会を退職したことで、草野の新入幕を親方として見届けることができませんでした」(相撲ライター)
こうした経緯があったため、伊勢ヶ浜部屋所属であっても、元宮城野部屋勢は炎鵬や伯桜鵬など、「鵬」の字がついてる。
「草野も『鵬』をつけてほしかったとか、白鵬の痕跡が消えてしまって寂しい、という指摘はありますね」(前出・相撲ライター)
義ノ富士にはぜひ、最初の師匠である元白鵬への「義理人情」を忘れない関取に育ってほしいものだ。
(石見剣)

