いよいよ、2025年のスーパーGT最終戦がモビリティリゾートもてぎで行なわれる。サクセスウエイトなしのガチンコ勝負が繰り広げられる最終戦を前にして、GT500クラス、GT300クラス共に多くのチームにタイトル獲得の可能性がある状態だ。
GT500クラスは、1号車au TOM'S GR Supraの坪井翔、山下健太組の連覇が濃厚かと見られていた情勢から一転、ライバルによる逆転王座の可能性もにわかに浮上している。
第4戦富士スプリントが終了し、シーズン折り返しとなった段階で、au TOM'Sの坪井、山下組はライバルに対して20点近い大差をつけていた。最終戦を前にしてタイトルを確定させる可能性すらあるのでは……そう言われていたが、重いウエイトを積み燃料流量も著しく絞られた第5戦鈴鹿、第6戦SUGOは共に9位と我慢のレースを強いられ、サクセスウエイトの搭載量が半分となり足枷の減った第7戦オートポリスではトラブルによりまさかのノーポイント。その間に、ライバルは着実にその差を縮めてきた。
ランキング2番手につけるのは、14号車ENEOS X PRIME GR Supraの大嶋和也、福住仁嶺組。彼らは第5戦鈴鹿で67kgものサクセスウエイトをものともせず2位に入り、au TOM'Sとの差を10点差に縮めると、第6戦は7位で8点差、第7戦は9位で6点差と、ひたひたと忍び寄ってきた。
ただそれでも、ENEOS大嶋、福住組は自力タイトルの可能性を有していない。彼らが例え最終戦でポールトゥウインを飾り21点フルマークを記録したとしても、au TOM'Sが2位(15点獲得)となった場合、同点とはなるものの上位入賞回数の差で坪井、山下組にタイトルが転がり込む計算となる。
オートポリス戦で優勝しランキング3番手に食い込んで来たのは、100号車STANLEY CIVIC TYPE R-GTの山本尚貴、牧野任祐組。彼らがトヨタ陣営以外で唯一タイトルの可能性があるペアである。
今季トヨタ・GRスープラが猛威を振るう中でも、開幕戦岡山4位、第2戦富士3位を筆頭に、着実にポイントを積み重ねてきたSTANLEY山本、牧野組。ただオートポリス戦を迎えた時点でau TOM'Sとは30点近いビハインドがあった上に、予選ではQ1敗退に終わったため、ここで“終戦”となってしまうのではないかと思われた。
しかし彼らは3時間の決勝レースで戦略を見事に遂行して逆転勝利。トップとの点差は一気に8.5点まで縮まった。逆転タイトルには最終戦での表彰台が絶対条件であり、ライバルとの点差を考えると少なくとも2位には入っておきたい山本、牧野組だが、もてぎで5年ぶりの王座に輝き、ラストレースを迎えるシビック・タイプR-GTに華を添えることができるか。
そんなSTANLEYシビックのふたりから1点ビハインド、ほぼ同条件にあるのが38号車KeePer CERUMO GR Supraの石浦宏明、大湯都史樹組。彼らは最終戦でポールトゥウインを決めれば、au TOM'Sが3位以下でタイトルが転がり込む。共にGT500初王座がかかっており、特にGT500ラストシーズンとなる石浦にとっては、チャンピオンの称号を手にしてこれ以上ない形で後進にバトンを繋ぎたいところだろう。
39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supraの関口雄飛、サッシャ・フェネストラズ組、37号車Deloitte TOM'S GR Supraの笹原右京、ジュリアーノ・アレジ組にも逆転タイトルの目が残されているが、その条件は厳しいと言わざるを得ない。彼らはオートポリスでノーポイントに終わったことでトップとはそれぞれ16.5ポイント、17ポイントの大差がついており、逆転には文字通り“勝つしかない”といった状況。その上でもてぎを得意とするau TOM'Sが中団に埋もれることを期待しなければならない。
2025年のGT500チャンピオンは、上記の6チーム12名のドライバーによって争われる。特にau TOM'Sと坪井にとってはスーパーGTの歴史上初となる3連覇がかかっているが、最終戦の舞台であるもてぎは過去2年優勝しているコースでもあり、依然として優位な状況にあると言える。ただオートポリスでライバルが差を縮めたことによって、圧勝した昨年のような余裕はない。足元をすくわれないためにも、au TOM'Sらしい磐石なレース運びが求められる。
なお日産勢の最上位は23号車MOTUL AUTECH Zの千代勝正、高星明誠のランキング7番手となっており、既にタイトル争いは脱落となっている。彼らはオフの空力開発が解禁される来シーズンに向け、社をあげてZの改良に取り組む構えだ。

