日本シリーズと時を同じくして開幕したMLBワールドシリーズ。阪神とソフトバンクの熱戦そっちのけで、二刀流侍のパフォーマンスにばかり目を向けるファンも少なくない。ではその先、ショータイムの来季はどうなるのか。
「投手のリハビリプログラムに沿った起用方法がうまくマッチした印象です」
大リーグ評論家の友成那智氏は、今季のドジャース・大谷翔平(31)をこう分析する。
DH専任で開幕を迎えると、チームの「核弾頭」として大暴れ。主にトップバッターとして打率2割8分2厘、55本塁打、102打点の好成績を残すや、ポストシーズンでも恐るべき打棒を炸裂させている。スポーツ紙デスクが解説する。
「ポストシーズンでは執拗に左投手をぶつけられて、一時は絶不調に陥りましたが、『1番・投手』で出場したナ・リーグ優勝決定シリーズ第4戦で、3ホーマーを放ち復調、シリーズMVPに輝いた。5〜6月に打者としてピークに達しましたが、8月から再び“第二波”が到来。23年9月に受けた2度目のトミー・ジョン手術を経て、6月から投手として復帰するも、しばらくは短いイニングの登板を重ねていた。結果、二刀流の始動を遅らせたことが、バテずにシーズンを完走できた要因だと言われています」
となれば、来年3月に控えるWBCでは投打二刀流で出場することも想定されるが、
「投手としての出場はNGとなるかもしれません。前回大会では、日本の社会人チームにも大敗した中国代表や、格下のイタリア代表相手に先発登板し、決勝でクローザーまで任された結果、その歪みがシーズン後半に故障として表れました。20代から30代になって、より体のケアが必要になるので、球団も慎重に判断せざるをえない。東京ラウンドでは、打者としての出場すら温存される可能性もあります」(前出・友成氏)
球団の宝ゆえ「取扱注意」のレッテルを貼られるのも仕方あるまい。今季、投手としてはキャリアハイの出力を計測しているが、
「ストレートの平均球速が約158.5キロと、23年よりも2.7キロも進化している。さらにスピンレート(1分間の回転数)も2500回転にまでアップして、空振りを誘発しやすくなりました。スライダーとのコンビネーションで奪三振を量産。今季の奪三振率11.87は、規定投球回未達ながらナ・リーグトップクラスの数字です」(在米スポーツライター)
WBCでの慎重な起用を受けて、来季も期待は大きい。先の友成氏は「頭からローテ入りはないでしょう」と前置きして続ける。
「5月頃から段階的に、大谷を含めた6人ローテが組まれると予想します。ポストシーズンまでピークを維持できた、今季の流れを踏襲するのが理にかなっていますからね。ドジャースは例年、メジャー当落線上の若手を含め10人ほどの先発要員を用意するチームです。今季はエース級のスネルやグラスノーが故障離脱して穴を開けてしまいましたが、現在はもうポストシーズンでバリバリに投げられている。特に来季に支障はないでしょう」
もっとも、万事順調に事が運ぶとは限らない。すでに水面下では、緊急時に備えてのオプションまで視野に入っているというのだ。スポーツライターの飯山満氏が明かす。
「リリーフと外野手での起用です。今季のドジャースは、リリーフ陣が試合を壊してしまう展開が少なくありませんでした。弱点を補うために、大谷の救援登板プランが浮上しています。リリーフで投げるとDHが解除されてしまうので、そのまま外野守備につくというオマケ付きです。もともと送球を含め、外野守備にも定評があるだけに問題ないでしょう」
まさか投手と打者の二刀流から、先発、リリーフ、打者に外野手という奇跡の「四刀流」にまでアップグレードしようというのか。そのまま打撃面でも、もはや神の領域に足を踏み入れようとしているのに─。
「今季はできすぎたシュワーバーに競り負けてしまいましたが、来季も同等の数字を残すことができれば『ホームラン王』は堅い。並行して、強打者として勝負を避けられる傾向がますます強くなっていくため『四球王』も射程圏内です。今季戴冠した『得点王』と出塁率と長打率を足した『OPS王』、さらには、打者成績だけでも今季確実な『MVP』も間違いないでしょう。来季の“五冠王”も夢ではありません」(前出・友成氏)
そして伝説へ‥‥。前人未到の1人旅はまだまだ続くようだ。

