当面は「クマ担当大臣」、コメのように成果を上げられるか?
そんな地元での格好のアピールの機会を逸した進次郎氏の前に立ちはだかったのが、東北を中心に国民の生活を脅かすクマ問題だ。
高市首相がトランプ大統領との首脳外交に臨んでいた28日には、秋田県の鈴木健太知事が防衛省を訪れ、進次郎氏に直接、クマ対策への支援を要望。
進次郎氏は「早急に対応策を練り、安全と安心を取り戻す」と述べ、その日の夕方には陸上自衛隊の連絡員らを秋田県に向かわせた。自衛隊と秋田県側で、自衛隊受け入れに向けた協議がさっそく開かれたのだった。
「クマ担当大臣」として脚光を浴びる形となった進次郎氏だが、クマ対策は新たな正念場ともなりそうだ。
「コメ政策と同様、国民の関心が高く、生活に直結するテーマのため、会見で記者とのやりとりも増えるだろう。コメ政策のように、大きな失言もなく乗り切れればいいが、クマ問題は人命もかかっているため、失態を犯してしまうと責任も重くなる」(全国紙政治部記者)
進次郎防衛相ができることは限定的か
さらに、現状では自衛隊が対応できるクマ対策が限定的であることも、進次郎防衛相の頭を悩ませる。
今後、自衛隊はクマを捕獲するため、箱わなの運搬・設置・見回り、駆除したクマの解体処理などの後方支援を行なう見込みだ。だが自衛隊法の規定では、クマの輸送はできるものの駆除に関する規定はないため、自衛隊が銃を撃つなどしてクマを駆除することは想定されていない。
「今後、他県からもクマ対策の後方支援を求められる可能性がありますが、進次郎防衛相にできることには限界がありそうです。備蓄米放出でコメ価格を下げられたのとは異なり、すぐに目立った成果が出るかは分かりません」(全国紙政治部記者)
自衛隊ができるクマ対策の限界に「今後、法体系や対応のあり方をどうするかということは、防衛省だけではなく政府全体で考えていく必要性も出てきている」とも述べた進次郎防衛相。各地で人を襲うクマと、息の長い戦いになりそうだ。
「コメ担当大臣」とは異なる難しさがあるなか、クマから人々を「防衛」できるか、進次郎防衛相の正念場が続きそうだ。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

