F1第17戦のアゼルバイジャンGPが開幕し、9月19日には2回のフリー走行(FP1、FP2)が実施された。
後半戦でも苦戦が続いているレッドブルの角田裕毅は、FP1(16周回)で1分43秒738のベストタイムを計測して6番手の好位置につける。FP2ではロングランに重点を置き、22周回でのベストタイム1分42秒444は14番手止まりだったものの、セッション終了後のコメントはポジティブなものとなった。
「バクーで走るのはいつも少し違った感じなので、各セッションからできるだけ多くの情報を得ることが重要ですが、全体的には良い1日でした。ショートランでは改善の余地が少しありますが、それを金曜日に経験できたのは良いことで、明日しっかりとパフォーマンスを発揮できると思います」
「FP2では主にロングランに集中しましたが、そちらはずっと良い感触で、今季はあまり感じられなかった感覚を得られました。ここまで車が理解できる状態になってきていて、それは本当にポジティブなことであり、ラップを重ねるごとに前進できています。前向きに臨み、正しい方向を維持して、明日何ができるか見ていきたいと思います」(F1公式サイト『F1.com』より)
レッドブルのヘルムート・マルコ顧問は、角田の車がマックス・フェルスタッペンのものと同じだと明かしたうえで、「RB21」がこの週末では「ロングランでは有望」との見解を示している。同様に英国のモータースポーツ専門サイト『THE RACE』も、フェルスタッペンを中心に、レッドブルについて好意的な記述を並べた。
「フェルスタッペンは、ごく典型的なレッドブルの金曜日を過ごした。RB21は最初、いくつかのブレーキングゾーンでボトミングし、彼(フェルスタッペン)の好みからするとややアンダーステアが強すぎた。それでも、スローセクションではルイス・ハミルトン(フェラーリ)より速く、ロングランの平均ペースはマクラーレンやメルセデスのどれよりも良かった。多くのメカニカルな変更を経て、彼は必要としていたブレーキング時の安定性を得たが、今はコーナー進入をより鋭くする作業に取り組んでいる」
『F1.com』は、「レッドブルにとっては堅実なオープニングセッションとなり、両ドライバーがお互いに激しく競り合った。フェルスタッペンは車のバウンシングについて不満を述べ、最初のソフトタイヤでのプッシュラップでコースオフしたが、それ以外は問題なく走行した。オランダ人ドライバーは、静かなFP2の後も似たような順位で終えたが、角田はチームメイトについていくのに苦戦し、順位を落とした――ただしその差は今回も、極めて僅差であった」と伝えている。
各国専門メディアの報道を見ると、ブラジルのF1専門サイトでは、『F1 MANIA』が「ツノダは1日を通して学びを得て、ペースを向上させた」。『GRANDE PREMIO』は「ユウキはRB21のパフォーマンスの進歩を感じ取った。初日はセッションごとに大きく異なる結果で終えたが、浮き沈みの激しいなかでも、この日を前向きに捉えている。改善すべき点はまだ残されているが、それを早い段階で把握できたのは良い兆候だ。予選や決勝を前に、進歩する時間があるということでもあるからだ」と、それぞれ綴った。
フランスのモータースポーツ専門サイト『NEXTGEN-AUTO』は、「ツノダは初日を終えて楽観的な姿勢を見せており、何かを見つけたようである」と伝えた。英国のF1専門サイト『PLANETF1.COM』は角田が良いスタートを切ったと伝えるうえで、その去就に絡めて、「2026年にツノダのシートがどうなるかに誰もが注目している。そして日本人ドライバーは、レッドブルのマシンへの適応に苦しんできたが、アゼルバイジャンGPが転機となる可能性がある」と示唆している。
そして前出の『THE RACE』は、「ユウキはレッドブルでの14レースでわずか9ポイントしか獲得できなかった原因となっている自身の弱点に、答えを見つけたかもしれないと考えている」「ミディアムタイヤでのロングラン平均は1分46秒台後半で、チームメイトのソフトタイヤでのそれより十分の数秒遅い程度であり、メルセデス勢よりも速かった。したがって、データもツノダの前向きな感触を裏付けている」と、ポジティブに伝えた。
一方で、「今の彼に必要なのは、これがまたしても『ぬか喜び』にならないようにすることだ。これまでもブレイクスルーの兆しはあったが、それを活かせないケースがあった」とも指摘。また、過去にバクーではしばしばセルジオ・ペレスがフェルスタッペンを上回っていたと紹介し、「バクーはセカンドドライバーの実力を測る最良の物差しではない可能性がある。それでもツノダには、この強力なロングランペースを日曜日まで維持するのが不可欠だ」とも記している。
構成●THE DIGEST編集部
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