KTMの再建を支援し、買収に向けた動きを進めているバジャジ・オートは今後、KTMのモータースポーツ部門を含む複数の部署で、大きく経費を削減することを計画しているようだ。
2024年に経営危機に陥ったKTMは今年に入ってから、大口株主でもあったバジャジ・オートによる出資が決定。現在も再建に向けた計画が進められている。またバジャジ・オートは最近、オーストリアの買収委員会から、KTM買収に関する承認を取り付けた。
バジャジ・オートとしては、KTMを再建させるためには大幅な経費削減が必要だと考えており、そこにはモータースポーツに関連する部門も含まれている。バジャジ・オートのマネージングディレクターを務めるラジブ・バジャジ氏は、CNBC TV18に次のように語った
「これは非常に簡単に解決できる問題だ。我々は研究開発やマーケティング(レースを含む)、オペレーション、そして一般管理費など、諸経費を50%以上削減できると思っている」
「前経営陣は従業員を6000人から4000人へと削減したが、それでも依然として多すぎるくらいだ」
「興味深いことに、この4000人のうちブルーカラーは約1000人しかいない。3000人がホワイトカラーだが、バイクを造っているのはブルーカラーの従業員なんだ。これは不可解なことだ」
「将来的な生産の変動の影響を主に受けるのはブルーカラーの従業員だが、真の問題は高価なホワイトカラーの過剰な人員だ」
「これは(フェイスブックの創業者の)マーク・ザッカーバーグの言葉だが『マネージャーを管理するマネージャーを管理するマネージャー』の話のようだ。この素晴らしい企業に、これほど官僚主義と管理過剰があったのは驚きだった」
またラジブ・ハジャジは、前CEOのステファン・ピエラの仕事ぶりも暗に批判している。
「我々も業界の多くも、この事態がこれほど急速に悪化するとは思っていなかった。約30年前、私の師であるジョン・ウォレス博士が言ったことを思い出す。“企業が滅びる最大の理由は企業の貪欲さだ”とね。この12ヵ月、まさにそれをKTMで目の当たりにしてきた」
ラジブ・バジャジはKTMを破滅に導いた貪欲さについて、新型コロナウイルスのパンデミック後に需要が落ち込んでいたにもかかわらず、過剰生産を続けて在庫を抱えたことや、“本来関与すべきではない事業への参入”として特に電動自転車事業に参入したことなどを指摘した。
「この2つの要因が相まって、KTMは数ヵ月で破綻状態に陥ってしまった。今ではバジャジ・オートもその要因のひとつだと言う人もいるだろうし、確かに我々もその一因だろうが、少数株主としてはこれを防ぐことはできなかった」
「様々な手段を尽くしたが、それがガバナンス面の貪欲さへと繋がってしまった。つまり我々の知らないうちに、あるいは正式な手続きを経ずに意思決定が下されることもあった」
そしてKTMがよりスリムで効率的な組織へと変わるように道筋を切り開く中で、刷新された経営陣を信頼していると彼は語った。
「この問題はKTM社員の99%が引き起こしたものではない。責任は旧経営陣にある。そしてそのほとんどはすでに退任済みだ」
「現在は欠員1名を除いて非常に優れた新チームが整っており、強く信頼している。プロダクトプランニング、R&D、法務などで情熱を持って働く旧来のメンバーと、新しいCFO(最高財務責任者)とCHRO(最高人事責任者)によって構成されている」

