大谷翔平を擁するドジャースがポストシーズンを戦う中、海を渡ったもう1人の「花巻東高出身選手」に大きな注目が集まったのは10月23日、プロ野球ドラフト会議でのことだった。
昨年3月に高校卒業後、同年9月に米・スタンフォード大に入学していた佐々木麟太郎をソフトバンクとDeNAが「強行指名」し、ソフトバンクが交渉権を獲得したのだ。
「高校通算で140本塁打を放っていた佐々木は、高校3年時の2023年もドラフトの目玉と言われていました。しかし本人のメジャー志向が強く、プロ志望届も出さなかった。一方、佐々木というスターの原石を逃したくないNPBは、23年に、海外の学校に在学中の選手のドラフト規約を変更。海外の学校に在学中の選手は契約締結の期限がドラフトの翌年の3月末から7月末に延長されたんです」(球界関係者)
毎年7月に行われるメジャーのドラフトは、四年制大学の学生に対し、3年生か2年生終了時、もしくは21歳を迎えた選手が対象となり、今年9月から2年生になった佐々木は、来年4月に21歳になるため、ドラフト指名の対象となるが、
「今回のドラフトに先駆け、変更後のドラフト規約、つまり、アメリカのドラフトにかかる可能性のある選手を、前年の日本のドラフトで指名できるようになったことをNPBがMLB側に前もって問い合わせたところ、問題がないことを確認。7月のプロ野球実行委員会で12球団に通知済みで、それにこれ幸いとばかりに、ソフトバンクとDeNAが乗っかったのが、今回の佐々木指名だったのです」(前出・球界関係者)
これで、今後も佐々木と同じように高校卒業後に即渡米しメジャーを目指す、という怪物選手が現れた場合にも、米球界に渡さないためのルールがとりあえず実現できたわけだ。いわば、「大谷ルール」(先発投手降板後も、指名打者としてそのまま打席に立ち続けられる)ならぬ「麟太郎ルール」といったところか。
ただし、アメリカの大学野球ルールでは、2月から6月までの公式戦開催期間において、球団と選手の交渉はできない。ソフトバンクは来年6月の公式戦終了後、わずか1カ月ほどで佐々木と入団交渉を行うことになる。
「その頃には、メジャー球団のドラフト指名候補も取りざたされることになる。仮にメジャーに指名されれば、佐々木はメジャーを選ぶでしょう。逆に来年メジャー指名がなかった場合、佐々木が再度メジャー入団を目指してソフトバンクに入団拒否すれば、また来年のドラフト会議で日本球団の強行指名が行われることになる。その場合も翌年7月までどこに入団することになるのか不透明なままになります」(前出・球界関係者)
佐々木のためにルールまで変えたNPBの思惑は実るのか。いずれにしても、今、目の前で思う存分プレーする同窓のOBを目標に、佐々木が夢を貫き日本のチームへの入団を拒否したとしても、心無いバッシングなどを浴びるようなことはあってはならないだろう。

