TPPが生んだブランド豚 「世界で通用する豚肉」を目指して
茨城県は古くから養豚が盛んで、1983年には県が開発した「ローズ系統豚」で知られています。しかし、鹿児島や沖縄のブランドに比べ、全国的な知名度は決して高くありませんでした。
転機は2013年。TPP(環太平洋連携協定)の影響で、海外の安価な豚肉が流入することへの危機感が高まりました。
「このままでは茨城の養豚が衰退してしまう。そう考えた私たちは海外の豚肉に引けを取らない上質な豚肉をつくることに着手しました」
そう語るのは、茨城県農林水産部の藤原望さん。県内の生産者と研究機関が一体となり、約7年かけて開発したのが「常陸の輝き」でした。
最大の特徴は、旨味成分の豊富さと柔らかな肉質です。
「一般的な豚肉の旨味は3%前後ですが、常陸の輝きは4%以上。噛むほどに感じる濃厚な味わいと、脂の甘み、香りのよさが特徴です」
その高い品質から、和食のみならずフレンチや中華など、幅広い料理ジャンルでも注目を集めています。
現在、常陸の輝きを生産する農家は県内で限られた数のみ。厳格な基準を満たす生産者のみが名乗れるブランドです。

「常陸の輝きを作り出す豚は、血統から厳選し、飼料も専用に開発しています。アミノ酸のバランスやビタミンEの含有量にもこだわり、一頭一頭を大切に育てて出荷しています。まさに茨城県の養豚農家の代表といえる豚肉です。だからこそ生産者にも厳しいラインを設けているのです」(藤原望さん)
丁寧な飼育環境と栄養管理によって生まれる、深い旨味と上品な甘み。その品質は、国内外からも高く評価されています。
しかし、今年3月に発生した国内の豚肉関連の感染症の影響で、海外への輸出は一時的に停止しており、再開の見通しはまだ立っていません。
「本当は世界中の人にも“常陸の輝き”を味わってもらいたいんです。でも今はそれが難しい。だからこそ、日本を訪れる海外のお客さまに食べていただき、帰国後に“日本のとんかつはすごかった”と思い出してもらえたらうれしいですね」(藤原さん)
今後は生産体制の拡大にも力を入れていく予定です。
「おかげさまで、今回の金賞受賞の一報は茨城県の養豚農家の人たちの確かな自信につながっています。『次は優勝する!』そう言っている農家さんもいるくらいです。
これを機会に品質を守りながら生産できる農家を少しずつ増やしていきたい。まずは知ってもらうことが一番の力になるので、今回のようなフェアを通じて、多くの方に“常陸の輝き”の魅力を伝えていけたらと思っています」(藤原さん)

金賞受賞記念フェア開催中
現在、「とんかつベス豚グランプリ」金賞受賞を記念して、「常陸の輝き とんかつフェア」が都内約10店舗で順次開催中です。実施店舗の概要は以下のとおりです。
とんかつ太志(池ノ上)
【実施期間】10月29日(水)~11月11日(火)
●常陸の輝きロースかつ定食150g 2,000円(税込み)
●常陸の輝きヒレかつ定食115g 2,200円(税込み)
原宿かつ畔(原宿)
【実施期間】10月29日(水)~11月11日(火)
●常陸の輝き とんかつ定食ロース150g 1,980円(税込み)
●常陸の輝き とんかつ定食ロース300g 2,530円(税込み)
とんかつじゅうろく(田原町)
【実施期間】10月29日(水)~11月11日(火)
●常陸の輝き特選ロースかつ単品 2,100円(税込み)
●常陸の輝き特選ロースかつ定食 2,600円(税込み)
※フェア実施店舗は順次追加となります。追加店舗については茨城県の食と農のポータルサイト「いばらき食と農のポータルサイト 茨城をたべよう」にてご案内いたします。
茨城県の養豚農家が約7年の歳月をかけて育て上げた「常陸の輝き」。一口ごとに広がる深い旨味を、ぜひこの機会に味わってみてください。
