森と学びをつなぐ――学生たちが見つけた木と人の関係

今回のプロジェクトには、東京電機大学・共立女子大学・北海学園大学の3校から、建築学科の学生およそ20名ほどが参加しました。
4月の初回ミーティングを皮切りに、オンラインや現地での打ち合わせを重ねながら、栃木県産の木材を使ったオブジェづくりに挑戦。
「森で過ごす人たちに、木のぬくもりを感じてもらいたい」という思いを胸に、デザインや構造を議論し、チームごとにアイデアを出し合って形にしていきました。
制作の最終段階では、学生たちは現地に泊まり込みで作業を行いました。
森の中では、木の香りとノコギリの音、そして学生たちの笑い声が混ざり合っていました。
日中は木材を組み上げ、夜はテントの明かりの下で翌日の作業を確認。
伐採現場を見学し、植樹体験を通じて「木が育ち、伐られ、再び森に還っていく」循環を肌で感じ取る時間にもなりました。
木材が単なる“素材”ではなく、自然の一部であり命のサイクルの中にあることを、学生たちは現地で体感したのです。
また、地域住民や協賛企業、林業関係者との交流も盛んに行われました。
地元の方からは「若い人が森に関心を持ってくれるのはうれしい」という声も寄せられ、学生たちはその言葉に背中を押されるように作業を続けました。
活動を通して、森を舞台にした学びが、単なる授業の延長ではなく、地域と人をつなぐ架け橋になっていったことが分かります。
9月6日に行われたお披露目会には、協賛企業21社の関係者を含む約150名が来場しました。
子どもたちは作品に登って遊び、保護者や関係者は木漏れ日の下でその様子を見守りました。
笑い声と木々のざわめきが重なる中で、学生たちの作品はまるで森の一部として息づいているよう。
アートと建築、地域と人——それぞれが重なり合って生まれた風景は、プロジェクトが目指す“自然と共に生きる社会”の小さな原型を感じさせるものでした。
森に残るアート、未来へ続く学び
学生たちの手で形づくられた木のアートは、時間とともに森の風景に溶け込み、これから訪れる人々に静かなインスピレーションを与えていくことでしょう。
木のぬくもりを感じ、自然と触れ合いながら過ごすその空間には、「人と自然が共に生きる」というメッセージが込められています。
笹谷研究室では今後も、地域の人々と協力しながら地産木材を活用し、アートや建築の力で持続可能な社会づくりに挑戦していくとしています。
森の中に息づく学生たちの作品は、学びの記録であると同時に、未来へつながる希望のシンボルでもあります。
私たちが普段何気なく通り過ぎる「森」や「木」には、こんなにも多くの物語がある。
そのことを教えてくれるのが、この「Wood Structure Artの森」プロジェクトなのかもしれません。
東京電機大学 笹谷研究室 概要
今回のプロジェクトを主導した笹谷研究室は、建築構造を専門とし、実験や解析から建築の仕組みを探る研究を行っています。
異なる素材を組み合わせたハイブリッド構造や、構造設計法の確立など、民間企業や行政と連携した幅広い実践研究を展開中です。
指導教員は東京電機大学 未来科学部 建築学科の笹谷真通教授。
学生たちは日々の研究で培った知識と技術を、この「Wood Structure Artの森」プロジェクトでも存分に発揮しました。
東京電機大学 URL:https://www.dendai.ac.jp/
