2025年シーズンのスーパーGTは後半戦に突入し、GT500クラス各陣営の来季体制について噂が飛び交う時期となった。その中でも気になるのが、本社が経営再建の最中にある日産陣営だ。
日産自動車は今年5月、『Re:Nissan』と呼ばれる再建計画を発表。固定費と変動費を計5000億円削減し、黒字化を目指すとしている。そのためスーパーGT、フォーミュラEなどに参戦する同社のモータースポーツ活動の今後に関して心配の声もあがっていたが、9月17日には年末恒例のファンイベント『ニスモフェスティバル』の2025年開催中止が発表。日産のモータースポーツの風物詩とも言えるイベントの中止とあって、ファンからの心配の声はより一層強くなっていた。
ニスモフェスティバル中止の理由についてプレスリリースでは、「例年通りの開催が難しいと判断」したと説明されていたが、具体的にはスーパーGT参戦車両の開発に関わるものだとする一部報道もあった。これについて、日産陣営GT500クラスの車両開発を統括する日産モータースポーツ&カスタマイズ(NMC)の木賀新一氏に話を聞いた。
2026年シーズンのGT500は、オフシーズンの空力開発凍結が解除されるシーズン。開発凍結は現在2年周期となっているため、日産、ホンダ、トヨタの3メーカーにとっては、今オフに空力コンセプトを確実にブラッシュアップしておきたいところ。日産陣営も先月の鈴鹿戦で1年3ヵ月ぶりの勝利を記録したものの、現在のトヨタ・GRスープラの独走を食い止めるためにも、「全社一丸」で開発を進める意気込みだ。
ニスモフェスティバルは毎年、12月の富士スピードウェイでNMCニスモ事業所の社員が主体となって開催されている。今年も12月のとある日程でサーキットを抑えたようだが、ちょうど開発が佳境となっているタイミングとバッティングしてしまったという。これでは、工数的にも現役のGT500車両をイベント内で走らせることは困難になってしまったと、木賀氏は説明する。
「やはりニスモフェスティバルでお客様が楽しみにされているのは、GT500の車両が4台揃っての模擬レースだと思います」と言う木賀氏。奇しくも昨年も、8月に予定されていた鈴鹿戦が台風の影響で12月のニスモフェスティバルの後にリスケジュールされてしまったことで、現役車両を走らせることはできなかった。
「我々の都合で、クルマをバラバラにしている時期と(開催日程が)バッティングしてしまいました。1年の締め括りとして模擬レースを楽しむということを多くのお客様が期待されていると思いますが、走らせるクルマがなくなってしまう状況になりますので、今回はお休みさせていただこう、と思っています」
また、そんな来季に向けては日産陣営の体制が縮小するのではないかという噂がパドックで流れている。さらには、現在2台体制を敷くNISMOが1台体制となり、陣営の台数が4台から3台に減るのでは、という具体的な話まで出てきている状態だ。
こういったGT500の来季体制に関する噂についてコメントできることはあるかと率直に尋ねると、木賀氏はこう答えた。
「そこに関しては、今まさにやっている最中です。発表まではまだ時間がかかると思いますから、お待ちいただくしかないですね」
以前のインタビューでは、2030年に導入が目指されているGT500車両の新規則について、各メーカーとコストや環境対策などに関して議論を重ねていると話していた木賀氏。メーカーとしての継続的なシリーズ参戦については「もちろんです」と力強く語り、「皆さんを失望させないようにしますので」と述べた。

