・生きていた古沢
…………
古沢「こ、こ、ここは……!」
古沢「僕が生まれた亀山産婦人科医院だ」
古沢を魔境・群馬の壁から救い出したのは他でもない……彼がこの世に生を受けた亀山産婦人科医院(足利市)だった。産声をあげたその場所が、ふたたび彼を呼び戻したのだ。彼にはまだ果たすべき使命があるということだろう。
・運命を受け入れて
病院の目の前にあるのが「足利氏宅跡」として国の史跡に指定されている「鑁阿寺(ばんなじ)」。源氏・足利氏の守り本尊である大日如来を祀り、春は桜、秋はいちょうの黄葉が美しく、市民からは「大日様」と呼ばれ親しまれている人気スポットだ。
その荘厳な山門が彼を迎え入れる……古沢は吸い込まれるように境内へと足を踏み入れた。
