・運命だとか未来とかって
──これもまた運命なのだろうか。 足利駅から全力で駆け抜けた私は、息を切らしながら鑁阿寺の東門にたどり着いた。その静寂の中で私は確信していた……「ここで古沢と再会できる」と。
静まり返る鑁阿寺の境内。夕陽が差し込み、石畳に長い影を落とす。
その時……山門の向こうからゆっくりと歩いてくる人影があった。
胸が高鳴る。時空を超えて、運命に導かれるように思わず叫んだ。
「あの、俺、君のこと、どこかで……」
「僕も……」
夕陽が2人を照らし、世界が一瞬だけ静止する。 声が重なり、時空が震える。そして2人で同時に……
「君の名は」
「まだこの世界は 僕を飼いならしてたいみたいだ 望み通りいいだろう 美しくもがくよ……」
来世は東京のイケメン男子にしてください!
でも現世は……
We are 北関東ブラザーズ!
・普通に観光
奇跡的な再会を果たした我々は、北関東ブラザーズとしての役割を全うすべく、普通に観光を再開した。鑁阿寺の表参道には室町幕府を開いた足利尊氏像がある。言うまでもなく、征夷大将軍との記念撮影は必須だ。
日本最古の学校こと「足利学校」はすでに閉館していた。かのフランシスコ・ザビエルが「日本国中最も大にして最も有名な大学」と世界に紹介した名門。門越しに眺めるだけでも歴史の重みが伝わってくるだろう。
