かつて日本の若者にとって最も特別なのは、クリスマスだった。恋人と過ごす夜、高級レストラン、プレゼント交換…そんな「ロマンチックな儀式」が定番だった。しかし昨今、その主役の座が10月末のハロウィンへと、ゆるやかに移っている。
2024年の調査では、クリスマスの平均支出は約1万6300円と前年より減少し、66.7%の人が物価上昇の影響を感じている。一方、ハロウィンに参加予定の人の平均支出は約6500円で前年より増加。首都圏・東海・関西では16.1%が行事に参加予定と答え、20代男性では25.3%に達した。
このように、クリスマスでは出費の減少やイベントの縮小傾向がみられる一方、ハロウィンでは参加と支出どちらも「下がらず拡大傾向」と言える状況だ。なぜ若者はハロウィンに熱を上げるのか。
まず、ハロウィンは「参加型」へと進化した。衣装を選び、仮装して写真を撮り、SNSに投稿して反応をもらう。見るより演じる、贈るより表現するという若者の価値観と、親和性が高いのだ。高級ディナーやプレゼント交換が前提のクリスマスよりも、友人たちとコスプレで街を歩くハロウィンの方が出費を抑えられ、ハードルが低く感じる世代が増えている。
「誰でも主役になれる」点も大きい。恋人がいなくても楽しめるし、コスプレ仲間や友人と集まるだけで一体感を得られる。「モノではなく、体験にお金を使う」という価値観の転換が、ハロウィン人気を後押ししているのだ。
その盛り上がりの裏では、社会的な課題も浮かび上がった。渋谷区は昨年も今年も「ハロウィン目的の来街は控えて」と呼びかけ、路上飲酒の禁止や交通規制などを強化。今年は池袋の「ハロウィンコスプレフェス」やテーマパークなど、主催者が管理するイベント会場での参加が主流になりつつある。若者イベントの主役交代をめぐり、様々な変化が起きているのだった。
(旅羽翼)

