現在開催中の東京国際映画祭でウィメンズ・エンパワーメント部門に選出された映画「佐藤さんと佐藤さん」(ポニーキャニオン)。10月30日に都内で開催された舞台挨拶に、主演で俳優の宮沢氷魚が、W主演の岸井ゆきのと天野千尋監督とともに登壇した。
今作は「騒音おばさん」で有名な事件をもとにした映画「ミセス・ノイジィ」(アークエンタテインメント)でメガホンをとった天野監督が撮る夫婦ドラマ。「佐藤」という同じ苗字で出会い、結婚したカップルを宮沢と岸井が演じる。15年に渡る夫婦生活の中でお互いの気持ちが徐々にすれ違っていく様子がリアルに描かれているという。宮沢がオファーを受けた当時をこう振り返った。
「脚本がすごく丁寧でした。15年のスパンを描いているので、ピックアップする部分は本当にごく僅かなんですけども、それがキレイに線を結ぶようにつながっていたんです。描かれていない空白の時間、そしてこの2人が歩む人生というものがどういうものなのかっていうのにすごく興味が湧いてきて、『この世界の一員になりたい』、『このタモツ(劇中の役名)という人物を演じたい』って思いがすごく高まりました」
今作で宮沢は司法浪人の夫役。弁護士の妻が外で働く代わりに育児に追われる姿も描かれている。
「演じていた時間も、もちろん苦しい時間とかあったんですけども、完成したものを見た時に、その苦しさっていうものがすごく丁寧に描かれていて、本当に自分の人生というか、日々すごしている時間をもっと真剣にちゃんと向き合って生きていかないと、自分だけじゃなくていろいろな人を苦しめてしまう可能性があるんだなっていうことを作品を通じて感じました」
感慨深い表情で、そう語った宮沢は、昨年1月に、2022年放送のNHK朝ドラ「ちむどんどん」で夫婦役を演じた女優の黒島結菜と事実婚を発表し、同年7月に第1子の出産を報告している。みずからの私生活に重ねるように、「全体的にもっと自分の幸せだったり、自分の大事にしたいと思うものを手放さないためにも、もっともっとちゃんと向き合いながら生きていこうと思いましたね」と結んだ。
天野監督いわく、「(宮沢の役は)ちょっと情けないんですよね。こういう情けない役を氷魚君に演じてもらったら、『実は面白いんじゃないか?』と目論んでいて。実際にタモツを見たら、本当におもしろいし、このクールなビジュアルだからこそ、情けなさが愛おしく見えて…」とのこと。宮沢のパブリックイメージと劇中のキャラの大きなギャップを拝めるのも今作の魅力。11月28日の公開日から、どんな反響があるかが注目だ。

