トヨタ・GRスープラが猛威を振るってきた2025年のスーパーGT・GT500クラスは、勢いそのままに5台のスープラがチャンピオン獲得の可能性を残して最終戦もてぎに乗り込んできた。ただ、その中で1台だけスープラ勢の争いに割り込むことに成功したのが、ホンダ陣営の100号車STANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本尚貴/牧野任祐)だ。
100号車STANLEYは、ホンダ陣営が苦戦する中でも着実にポイントを拾い集め、ポイントランキングでもホンダ勢トップに陣取っていた。とはいえ第6戦SUGOを終えた時点でトップとの差は28.5ポイント……しかも第7戦オートポリスは予選12番手に沈み、最終戦を前に王座争いからの脱落は避けられないかと思われた。
しかし、2回のピットストップが義務化されたオートポリス戦の決勝レースでは、2回目のピットストップを短くする戦略が見事的中して大逆転勝利。ノーポイントに終わったランキング首位の1号車au TOM'S GR Supraと8.5ポイント差のランキング3番手に浮上し、大逆転でのチャンピオン獲得も射程圏となった。
STANLEYシビックにとって、オートポリス戦での勝利のターニングポイントとなったのが、1回目のルーティンストップが終わり、様々な戦略のマシンが入り乱れるようになったレース中盤だった。
早めのピットストップでアンダーカットに成功していた38号車KeePer CERUMO GR Supraが先頭に立ち、後続を抑えるような格好となったことで、トップから10台以上がほぼひとつの集団となってギャップが消滅したのだ。このことは、燃費をマネジメントしながら2回目の給油時間をライバルより短くしようとしていたSTANLEYシビックにとって強い追い風となった。
STANLEYシビックを担当する星学文エンジニアも、そこが勝因になったと捉えている。
「トヨタさんはトヨタさんで、あまりこちらをケアしていなかったというか、トヨタ内でのレースをしていた印象もあります。チャンピオンシップがかかってくると、同じトヨタ陣営の中で上にいかないといけないような状況だったと思います」
「38号車が早めに(ピットに)入りましたが、よほどのペース差がない限りオーバーテイクは難しいですから、集団全体のペースがあそこで決まって(先頭の38号車が基準になって)しまいましたよね」
「そんなところでうちはコソッとじゃないですけど(笑)、最初のスティントで(山本が)燃費のケアと(牧野が担当する)セカンドスティントへのフィードバックに専念してくれた結果、後半スティントに上手く繋げることができました」
最終戦で優勝すれば、逆転王座も現実味を帯びてくるSTANLEYシビック。ただ星エンジニアは、もてぎでのテストでの感触からも、スープラ勢を倒すのは一筋縄ではいかないだろうと語る。
「ここまで、もてぎで2回のメーカーテストがありましたが、やっぱりノーウエイトになった時はちょっと遅れているかなという印象はあります。その差をどう埋められるかを考えた上で(セットアップを)持ち込んでいますが、走ってみないと分かりませんね。でもそんなに簡単ではないかなと思います」

