現地時間10月26日に行なわれたレアル・マドリーとバルセロナによる伝統の一戦「エル・クラシコ」ではホームの前者が2-1で勝利を飾ったが、このサンチャゴ・ベルナベウでの一戦で最も大きな非難の声や口笛を浴びることになったのが、バルサの若き背番号10、ラミン・ヤマルだった。
それはマドリディスタにとって宿敵のエースだからということよりも、注目の一戦の前にこの18歳の少年がイベントで「マドリーは試合を盗み(ズルをする)、文句ばかり言う――」と口走ってしまったことが原因だった。恥骨炎の影響で輝きを放てないまま試合を終えた彼に対し、マドリーのダニ・カルバハルは「喋り過ぎ」とのジェスチャーを見せている。
そしてこの神童に対する批判は、メディアからも発せられ、マドリードのスポーツ紙『MARCA』は「彼の発言は極めて深刻であり、プロのサッカー選手としても、そしてバルサのスターとしても相応しくない。リオネル・メッシ、シャビ、アンドレス・イニエスタの誰ひとりとして、あのような暴言を口にしたことはなかった。ジョゼ・モウリーニョとペップ・グアルディオラの時代ですら、そんなことはなかった」と指摘した。
国外のメディアでも、イタリアのスポーツ紙『La Gazzetta dello Sport』が、ヤマルがキングスリーグ(ジェラール・ピケが主催する7人制サッカーの世界大会)の配信イベント「Chup Chup」で発言した一件を報道。その発言を「全くもって良い判断ではなかった」と断じたが、同時にヤマルの置かれた“特殊”な環境にも言及している。
「ヤマルは孤独だ。(息子の行動を利用して宣伝効果を狙うタイプの)両親はあまり助けにならず、代理人のジョルジュ・メンデスも遠くにいる。友人は同年代の子どもたち……。お金はどんどん増え、幼い頃からの称賛や期待、そしてトラブルとともに、まだ若いのに大きな名声を背負わされている。彼の行動は常に大きく注目され、しばしばそれが裏目に出る。ヤマルは自分らしく生きたいと思っているが、名声や注目の重さに上手く向き合えていない」
同メディアは、若き日のメッシを引き合いに出し、「彼にはカルレス・プジョール、ダニ・アウベス、セルヒオ・ブスケッツ、シャビ、イニエスタ、ハビエル・マスチェラーノ、セスク・ファブレガスといった偉大な選手がいて、さらにグアルディオラ監督はメッシを守るために(自分勝手な行動を取っていた)ロナウジーニョやデコをチームから外す決断もためらわなかった。こうしてメッシは安全に力を発揮できた」と綴り、一方のヤマルが「守られていない」ことを強調した。 スポーツ専門チャンネル『ESPN』も同様の論調を展開。記事を綴ったグラハム・ハンター氏は、まずヤマルの「舌禍」についての各国メディアの報じた内容にも誤りがあると指摘。実際は、キングスリーグに出場するスペインのチーム「ポルシノス」について「マドリーのようなチームか?」と訊かれたヤマルが、「それはズルをして文句を言うという意味?」と冗談で返した程度のことが、「マドリーを直接非難した」として大騒動になってしまったのだという。
そして、同氏はこの件に関する責任を追及し、まずクラシコ前というデリケートな時期に、こうした「SNSで注目を集め、論争を生み、少しの失言でもメディアに面白おかしく報じられるようなイベント」に、世界的に注目を集める選手を参加することを許したバルサを糾弾したが、最も責任が大きいのはこのイベントの主催者であるピケであるとした。
「高額な報酬を得るティーンのリスクは、ピケ自身が身をもって知っているはずなのに、なぜヤマルを無防備に晒すようなことをしたのか。彼はメッシ級の才能を持つ少年を守るのではなく、クラシコの“餌”として利用したとも言える。(このイベントに参加した人気ストリーマーの)イバイ・ジャノスはヤマルを危険に晒したことを謝罪したが、ピケはヤマルが決してマドリーを侮辱する意図はなかったことを伝えるための介入すらせず、むしろマドリー非難の感情は正しいと発言して、火に油を注いだのだ」
さらに非難の矛先は多岐にわたり、「代理人のメンデスは何をしていたのか? 若く高額報酬のスター選手を守る最低限の助言や保護を提供していなかったのか。メンデスは謝罪し、責任を果たすべきだ。ハンジ・フリック監督はどうか。クラブの報道対応会見で、ヤマルのピッチ外の行動について問われた彼は、『私の関知することではない』と軽くあしらった。間違いだ。18歳の世界的才能の行動を管理するのは、監督の責任の一部だ」と、ヤマルの周囲の“大人”たちを糾弾している。
前述したカルバハルのジェスチャーについても、代表チームにおいて分断を招きかねない不適当な行為だったと指摘。スペイン代表のチームメイトであり、若い選手たちを導く立場にあるにもかかわらず、公の場で少年を挑発し、恥をかかせたことは、遺恨を生むものだとし、「誤解を招いた18歳の行動以上に、カルバハルの判断こそ未熟で無責任であり、その地位に相応しくなかった」と痛烈に批判した。
「ヤマルがミスを犯したのは間違いない。しかし、非難と叱責は、現場にいながら適切に対応せず、間違った時に見放した大人たちに向けられるべきだ」と綴って記事を締めた同氏。クラシコでは、マドリーのヴィニシウス・ジュニオールが相手選手だけでなく、自チームのシャビ・アロンソ監督にまで怒りを向けたことで「甘やかされて育った」と厳しい批判を受けているが、選手の内面的な成長の重要性と難しさが強調された伝統の一戦でもあったと言えよう。
構成●THE DIGEST編集部
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