無理なく続けるコツと、購入ハードルの実態
アライは1日3回、食事のタイミングで服用するのが基本とされる。しかし関口氏は「完璧に守ろうとしすぎないことが大切」だと強調。現実的には、仕事や生活のリズムによって毎回きっちり服用するのは難しいこともある。
「もちろん用量として記載されているように1日3回が理想だと思います。ただ、多忙なビジネスパーソンにとって昼は仕事で服用が難しいケースもありますよね。私自身も昼はなかなか難しいので夜だけにする日もありますし、逆に土日は時間に余裕があるので3回きちんと飲みます。大事なのは、自分の生活に合わせて調整し、生活習慣を改善するために無理なく取り入れられるかどうか、だと思います」
アライは要指導医薬品に分類される。そして購入時には生活習慣の改善記録の記入が求められる。だが関口氏は「身構える必要はない」と言い切る。
「そんなに重く受け止めなくていいと思います。確かにルールなので記入は必要ですが、1週間ごとにどう過ごしたかを思い出して書くだけ。しかもシートは薬剤師が保管するわけではなく、本人に返されます。
大切なのは『記録を残すこと』ではなく『自分の生活を振り返ること』。たとえば『昨日は少し食べてしまったな』と思い返すだけでも意味があります。薬剤師も『完璧に書いていないと販売できません』という対応ではなく、『思い出せる範囲で書いてください』と伝えるはずです」
一方で、購入対象者が限られていることについては課題を感じているという。
「パターンとして多いのは、BMIや腹囲が購入基準を超えてしまっているために販売できないケースです。こうした人たちに届けられないのはもったいないなと個人的には思います。日本の医療費を抑制するには生活習慣病の患者を減らすことが大事ですし、アライには、その一助となるポテンシャルがあると思っていますので」
購入条件をしっかりチェック
関口氏の発言にもあったように、アライは誰でも自由に買える薬ではない。サプリメントのように気軽に購入できる商品ではなく、医薬品という側面があるため、正しく使わなければ思わぬ副作用が出る可能性がある。
そのため利用できる人の条件が定められ、必ず薬剤師と相談しながら購入する仕組みになっている。裏を返せば、それだけ安全性と適正使用を重視した薬だということでもある。
対象となるのは18歳以上で、腹囲が男性85cm以上・女性90cm以上、かつ食事や運動など生活習慣病対策に取り組んでいる人。ただし、BMIが35を超える高度肥満や、BMIが25以上で糖尿病や高血圧などの生活習慣病を合併している場合は対象外だ。
また販売は「要指導医薬品」に区分されているため、薬剤師が常駐する店舗でしか取り扱われていない。実際の購入では、薬剤師に相談し、質問票に答え、生活習慣の記録を提示することになる。
ただし必要なのは直近1か月分の記録で、週1回、最低4回分を記してあれば十分だ。準備が整っていなくても、その場で書き込めば販売できるケースもあるため、想像以上にハードルは高くないと言える。
アライは「飲めば痩せる魔法の薬」ではなく、生活習慣を見直し、改善を後押しするサポート薬だ。関口氏の体験が示すように、日々の食事や行動と向き合うきっかけとして、アライは確かな役割を果たすだろう。
もし「お腹まわりが気になる」「生活習慣を変えたい」と感じているなら、まずは薬局で薬剤師に相談してみてほしい。
取材・文/毛内達大
撮影/石田壮一

