
『連続テレビ小説 ばけばけ Part1 NHKドラマ・ガイド』(NHK出版)
【画像】え…っ! 夫婦で立って並ぶと「なんか小っちゃくてかわいい」 コチラが小泉八雲さん(ギリシャ人)と小泉セツさん(日本人)の身長差です
まだ終わってなかった「女中の目の不調」問題
2025年後期のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』は『知られぬ日本の面影』『怪談』などの名作文学を残した小泉八雲(パトリック・ラフカディオ・ハーン)さんと、彼を支え、さまざまな怪談を語った妻の小泉セツさんがモデルの物語です。第5週では、ついに主人公「松野トキ(演:高石あかり)」の未来の夫「レフカダ・ヘブン(演:トミー・バストウ)」が、中学の英語教師として松江市にやってきました。
ヘブンは到着した日にたまたま見かけた花田旅館を気に入り、ずっと泊まっていますが、第6週の予告を見ると、彼は何らかの理由で怒り狂って旅館を出ると言っています。いったい何があったのでしょうか。
※ここから先の記事では『ばけばけ』のネタバレにつながる情報に触れています。
ヘブンは5週目第24話で、花田旅館の女中「ウメ(演:野内まる)」が目が少し痛いというと、周囲の人間が驚くほど心配していました。宿の主人「平太(演:生瀬勝久)」が大したことはないとあしらうと、ヘブンは激怒しています。彼は幼少期に左目を失明しており、他人の目の異変にも過敏になっていたのです。
ヘブンのモデルであるラフカディオ・ハーンさんは、松江にやってきた1890年8月30日以降、太平さんという主人が営む冨田旅館に泊まっていました。そして同年の秋頃に、ハーンさんは織原万次郎さんという人物の隠居家を借りて住むようになったそうです。彼が冨田旅館を出てしまったのは、当時14、5歳のお信さんという女中の目の不調がきっかけでした。
ハーンさんは、身の回りの世話をほぼひとりでやってくれていたお信さんをとてもかわいがっていたそうです。そんなお信さんの眼病が判明した際、16歳のときの事故で左目の視力を失ったハーンさんは、主人の太平さんに彼女を早く病院に連れていくように頼みました。
しかし、太平さんはそれを適当にあしらってなかなか対応しなかったため、ハーンさんは彼に対し「珍しい不人情者、親の心ありません(太平さんとお信さんは親子関係ではない)」と怒り狂って、冨田旅館を出てしまったそうです。その後、ハーンさんは自費でお信さんを医者に診せ、全快するまで世話をしました。当時、山陰新聞はこの話を美談として紹介しています。
そして、ハーンさんは冨田旅館を出て暮らし始めてから、松江中学の教頭・西田千太郎さん(「錦織友一」のモデル)に身の回りの世話をする女中が欲しいと頼みました。その後の1891年2月頃、西田さんの紹介でのちに妻となる小泉セツさんが、住み込みの女中としてやってきます。
第6週でヘブンが花田旅館を出るということは、トキが女中として彼と暮らし始めるのも近そうです。
※高石あかりさんの「高」は正式には「はしごだか」
参考書籍:『八雲の妻 小泉セツの生涯』(著:長谷川洋二/潮出版社)、『思い出の記』(著:小泉セツ/ハーベスト出版)
