最新エンタメ情報が満載! Merkystyle マーキースタイル
宇宙がシミュレーションだとすると「神様のPCに必要な空き容量」はどのくらいか?

宇宙がシミュレーションだとすると「神様のPCに必要な空き容量」はどのくらいか?

ムーアの法則によれば「宇宙」のインストールは500年で可能になる

ムーアの法則によれば「宇宙」のインストールは500年で可能になる
ムーアの法則によれば「宇宙」のインストールは500年で可能になる / Credit:Canva . ナゾロジー編集部

今回の研究により、少なくとも見える範囲の宇宙のに必要なビット数が判明しました。

私たちの宇宙は無数の粒子1つ1つを区別しつつ、それらを同時に動かし続ける物理エンジンで構成されているのかもしれません。

現在の人類にはとても到達できない領域ですが、永遠に達成不能かと言われるとそうでもありません。

ムーアの法則と実際のコンピューターの発展過程
ムーアの法則と実際のコンピューターの発展過程 / Credit:wikipedia

コンピューターの急速な発展によりコンピューターの性能(集積密度)は1年半から2年ごとに2倍になるというムーアの法則が知られています。

ムーアの法則と連動して記憶容量も増えていけば、コンピューターの記憶容量も500年後には6.036×10の71乗ギガビットに到達すると予想されるからです。

(※ムーアの法則には最近になって再び限界もみえはじめている)

さらに600年後、700年後となれば、6.036×10の71乗ギガビットの情報を同時に処理できレベルまで到達するでしょう。

宇宙のシミュレートが可能な技術レベルに到達するのは、思ったよりも近いのかもしれません。

なお、今回の研究は非常にチャレンジングな試みであったものの、それゆえに問題も多く含んでいます。

例えば、算出に用いた粒子は陽子や中性子といった観測可能なバリオン粒子に限られており、暗黒物質は含まれていません。

研究者によれば、暗黒物質などの情報を含めた場合には、さらに10兆倍クラスの追加が必要であり、最終的には10の93乗ビットの情報量に及ぶ可能性があるとのこと。

加えて、研究で用いられた算出法はあくまで最大限に圧縮された(必要最低限度)の情報量を導き出すものです。

つまり研究によって得られた「宇宙」は「zip」状態にあり、インストールして稼働させるには、より大きな容量が必要になります。

研究者は今後も宇宙の総情報量の推測を続け、より正確な数値を目指していくと述べています。

700年後の未来では、人々のPCに1つずつ別の宇宙がシミュレートされているのかもしれません。

参考文献

If the universe is a giant computer simulation, here’s how many bits would be required to run it
https://www.livescience.com/how-many-bits-in-the-universe

元論文

Estimation of the information contained in the visible matter of the universe
https://aip.scitation.org/doi/full/10.1063/5.0064475

ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。

編集者

ナゾロジー 編集部

配信元: ナゾロジー

提供元

プロフィール画像

ナゾロジー

ナゾロジーはkusuguru株式会社が運営する科学情報サイトです。読者をワクワクさせ、科学好きな人を増やすことを理念に運営しています。 現在、世界はたくさんの便利なテクノロジーによって支えられています。しかし、その背景にある科学の原理や法則を知る機会はあまりありません。 身近に潜む科学現象からちょっと難しい最先端の研究まで、その原理や面白さを分かりやすく伝えられるようにニュースを発信していきます。

あなたにおすすめ