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海外F1ライターの視点|ついにランキング首位陥落……ピアストリは立ち直ることができるか?

海外F1ライターの視点|ついにランキング首位陥落……ピアストリは立ち直ることができるか?

2025年のF1ドライバーズタイトル争いの様相は、僅か数ヵ月で大きく様変わりした。マクラーレン勢同士の争いになると思われていたが、ここにレッドブルのマックス・フェルスタッペンが急接近。そればかりではなく、4月以降ランキング首位の座を維持してきたオスカー・ピアストリが遂に陥落……チームメイトのランド・ノリスにその座を奪われてしまった。

 この激変が、僅か5戦の間に起きたことであるというのは、驚くべきことだ。しかもピアストリはこの間に、フェルスタッペンに70ポイントほど迫られてしまったということになる。彼の失速は明らかだ。

 ではピアストリは勢いを失ったままシーズンを終え、タイトル獲得を逃してしまうのか? あるいは復活を遂げ、F1デビュー3年目でタイトルを獲得することになるのか? motorsport.com各国の記者たちの見解をお伝えする。

■ピアストリは完全に勢いを失った。取り戻すのは困難:エド・ハーディ

 ファンの皆さんはF1ドライバーたちに対し、非現実的なほど高い期待をかける。そしてその期待に応えられなければ、嘲笑の的となってしまう。これは最近のピアストリに対しても見られたことだ。

 ピアストリはイタリアGPを迎えるまでは、ほぼ完璧な走りを見せていた。F1タイトルを争う時には当然受けるであろうプレッシャーにも、悩まされていないように見えた。

 しかしそんなピアストリであっても、深刻な問題に直面する時は必ずやってくる。その時が今だ。オランダGPを終えた段階ではノリスに34ポイントもの差を築いていたピアストリだが、アゼルバイジャンGPでは1周目にクラッシュするなど、著しい不調が続き、ついに逆転を許してしまった。

 ピアストリはようやくプレッシャーを感じはじめたようだ。しかし、彼がF1参戦3年目の24歳の若者であることを忘れてはならない。率直に言ってピアストリはまだ経験不足。1年間を浮き沈みなく活躍し続けるのは、極めて非現実的なことだ。

 ピアストリは計り知れない才能と大きな可能性を持ち合わせており、状況を好転させることもできるかもしれない。しかしその実現のためには、勢いが逆方向に傾きすぎてしまっているように見える。

 一方のノリスは快調で、過去5戦でピアストリよりも多くのポイントを獲得。チャンピオンを獲るためには、まさに絶好のタイミングと言えよう。それはチャンピオンの資質であるとも言える。一方でピアストリにはそれが欠けている。

 残りは4戦。昨年を振り返ると、ピアストリがノリスよりも良い結果を残したのは、実はカタールGPのみであった。その”過去のデータ”を見ても、ピアストリ復活という可能性は低いと言わざるを得ない。

■諦めるのは間違いだ:オレグ・カルポフ

 公平に言えば、ピアストリがこんな状況に陥るとは、誰も予想していなかった。彼自身も、今年のこれまでの成績とは対照的な最近の不調に、驚いていることだろう。

 そういうパターンを見つけ出すことは容易だ。しかし考慮すべき、他の要素も存在する。ピアストリは、5戦連続で悪い週末を過ごしたわけではない。モンツァやシンガポールでは、ノリスよりもほんの数ポイント多く失っただけだ。いずれのレースでも、彼が悪名高き”パパイヤ・ルール”の犠牲者だったと主張する人もいるかもしれない。しかしイタリアGPでは指示に対して「ノー」と拒否し、シンガポールGPのスタート直後にはもっと積極的にディフェンスしていれば、タイトル争いの様相はまた異なっていたことだろう。

 しかしながらアゼルバイジャンGPのレースは散々だったし、アメリカGPとメキシコシティGPでは、ノリスに対して明らかにペースが足りなかった。その事実は否定できない。

 しかし特定のサーキットでチームメイトからコンマ数秒遅れていたとしても、何の問題もない。ピアストリが最近のレースで大幅にポイントを失ったのは、マクラーレンの優位性が以前よりも小さくなったからである。チームメイトだけが相手だった今シーズン大半とは異なり、ライバルチームのことも考えねばならない……そういう状況になった。

 状況は厳しいように見えるが、ピアストリが挽回できないという兆候はない。

 メキシコでの不調は、コース特有のドライビングスタイルへの要求が原因だったようだと、チーム代表のアンドレア・ステラが説明している。残りのレースでは問題になることはないだろう。

 ピアストリはこれまで、学習能力の高さを証明してきた。しかも彼にとって今シーズンは、まだF1で3年目のシーズンだったということを忘れてはならない。まだ若いドライバーが、1年間調子を落とさず駆け抜けるというのは、不可能なことだろう。

 パニックに陥らないようにするためには、彼が最大限の自制心を発揮する必要があることは間違いない。しかしそれは十分に乗り換えられるはずだ。チャンピオンになるのは容易ではないだろうが、数週間苦戦したからといって、彼の可能性を諦めるのは、大いに間違いだろう。

■残り4戦は白紙からのスタート:フィリップ・クリーレン

 ピアストリの調子が制御不能に陥っている、あるいはタイトル争いのプレッシャーを感じている……そういう明確な兆候があれば、それは当然懸念材料となろう。しかし、実際にはそうなっていない。馬鹿げた陰謀論はさておき、そういうことをここで論じても意味はない。

 確かにアゼルバイジャンGPでのピアストリは、大トラブルだった。しかしシンガポールでは予選でノリスに先行した。アメリカGPとメキシコシティGPでの苦戦は、技術的側面が問題だったようだ。

 ピアストリは基本的に、グリップレベルが高く、マシンがレールに乗ったように走り、全力で攻めることができる時に最高のパフォーマンスを発揮するように見える。しかしグリップが低いコンディションで、マシンがスライドしてしまうと、ピアストリのドライビングスタイルには合わない。

 2025年シーズンの大半は、彼にとってうまく機能していた。しかしここ最近では突然機能しなくなってしまった。そして彼とチームの双方にとって課題が残ってしまった。

 しかしステラ代表によれば、トラフィックの影響により大きく順位を上げられなかったとはいえ、レースでその教訓を活かしていた兆候があったという。

 残りの4戦、ブラジル、ラスベガス、カタール、アブダビは、メキシコとは全く異なるコンディションで開催される。ピアストリにとっては全く異なる物語となろう。

 確かに彼のリードは失われてしまった。しかしサンパウロGPの週末で、1からスタートすることができる。そしてタイトルを獲得したならば、その能力を改めて証明するということになるだろう。

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