
『ハイスクール!奇面組』COMPLETE DVD-BOX 1(イーネットフロンティア)
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『ハイスクール!奇面組』は「学園スポーツギャグロマン」?
フジテレビ「ノイタミナ」公式Xアカウントで、『ハイスクール!奇面組』のリメイクが発表されて大きな話題になりました。
1980年に「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載がスタートした新沢基栄先生のマンガ『3年奇面組』は、登場人物の進学にともなって1982年に『ハイスクール!奇面組』に改題。アニメ『ハイスクール!奇面組』は1985年にスタートして大ヒット作となりました。
アニメ化にあたってノータッチという漫画家もいますが、新沢先生はアニメ化の際にスタッフにかなり細かく注文を出していました。コミックス12巻には「アニメ化裏話特集」として、新沢先生がアニメスタッフに渡すために描いた設定書が掲載されています。
例えば、主要キャラの表情のパターンは紙1枚につき9パターンほど描かれており、「河川唯」は4枚、「宇留千絵」は3枚、ほかのキャラは1、2枚ずつ描いたといいます。さらに、キャラの顔をさまざまなアングルで描いた紙を30枚ほど、各キャラの等身図、目や髪型などの各パーツや骨格の描き方、キャラの動かし方、その他の注意書きを含めて100数十枚描いたそうです。
改めて設定画を見ると、その細かさに驚かされます。新沢先生は「今まで、こんなに細かく注文つけられたのは初めてです」と言われたと振り返っていました。
注意書きは絵だけでなくキャラの性格や話し方についても及んでいます。「一堂零」は「しゃべり方も下品さはなく、『高貴なバカ殿様』といったフンイキです」、「冷越豪」は「千絵ちゃんにひそかに好意を持っているが口には出さない」、「物星大」は「オカマといってもわりと少年っぽい口調です。『わよ』『わね』などの女ことばまでいきません」と細かく指定していました。
このように細かく注文をつけたのは、原作のイメージを大切にしてもらいたい新沢先生の思いにほかなりません。後のインタビューでは、アニメ化の企画書に「学園スポーツギャグロマン」と書かれていたことと、先方から提示された絵が原作から変えられていたのを見て、「原作を呼んだことなかったんじゃないかと思っちゃうぐらいで」と危機感を抱いたことを明かしています(『Popeye増刊 帰ってきたハイスクール!奇面組』)。
そして注意書きのなかにさりげなく書かれているのが、「奇面組ではパンチラなどやらないようにお願いします」という一文です。『ハイスクール!奇面組』は当時のギャグマンガとしては珍しく、お色気ネタや下ネタがほとんどありませんでした。
奇面組のひとり、「出瀬潔」は「女に弱いスケベ」という設定ですが、原作ではスカートめくりの場面はあってもパンチラの描写は周到に避けられています。潔は風呂屋の息子でしたが、女性の裸も背中やタオルを巻いた状態でしか描かれていません(女性キャラの水着エピソードはいくつもありました)。
アニメ化された際もパンチラはほとんど描かれず、第72話「奇面組ニューリーダーは誰だ!」で奇面組の5人がかりで女性のスカートめくりをする場面でも、人物の顔などで隠されてパンチラは描かれていません。
ただし絶無ではなく、第45話「おいでやす!京都・奈良への修学旅行」では担任教師「伊狩増代」のパンチラがほんの一瞬映っています。なんとしてもパンチラを入れたいアニメーターの執念を感じさせました。また、パンチラではありませんが、唯が全裸で入浴している場面から始まるオープニングもありました。
このような注意書きをしたのは、アニメーション制作を担当した土田プロダクション(後にスタジオコメットが引き継ぎ)がそれまで手がけていた『さすがの猿飛』や『らんぽう』ではパンチラ描写が多かったため、『ハイスクール!奇面組』では一線を画したかったのではないかと推測されます。アニメのパンチラ描写が当たり前だった時代に「パンチラ禁止」を通達したのは英断だったと言えるでしょう。
いずれにしても、新沢先生の原作への深い愛情がうかがえます。リメイクされる新作がどのような仕上がりになるのか楽しみに待ちたいと思います。
