AI(人工知能)ブームに伴う需要増を追い風に、アメリカ半導体大手エヌビディアの時価総額が、世界で初めて5兆ドル(約770兆円)を突破した。
時価総額は企業の市場価値を示す最大の指標とされており、発行済み株式数に現在の株価をかけて算出される。日本の場合、首位に立つトヨタ自動車の時価総額は約50兆円。つまりエヌビディアの時価総額は、トヨタ自動車のおよそ15社分に達したことになる。
AI半導体で世界シェアの約8割を握るエヌビディアの時価総額が急拡大したのは、2022年11月に米オープンAIがチャットGPTを公開して以降のこと。その後、4兆ドルを超えたのが今年7月だから、4カ月で1兆ドルも増えた計算になるのだ。
同様に、今年7月には米マイクロソフト、今年10月には米アップルが、それぞれ時価総額4兆ドル超えを達成。上記3社株を構成銘柄に組み込むダウ平均株価(30種)は10月29日、史上初となる4万8000ドルを突破したのである。
そしてニューヨーク市場の過熱ぶりは東京市場にも波及し、今年初めに4万円前後だった日経平均(225種)は、10月27日に初めて5万円の大台を超えた。しかもこの間の上昇分の約半分は、たった2銘柄のAI関連株(ソフトバンク株とアドバンテスト株)が押し上げたものだったというから、まさに空前絶後の「AIバブル」と言っていい。
そんな中、市場関係者の間で不気味な広がりを見せているのが「株価大暴落」への懸念だ。ある投資専門家は、次のように警鐘を鳴らす。
「AI半導体市場だけを見ても、今は一部の企業が世界シェアを独占しているわけですが、安価で高性能なAI半導体の普及によって、独占状態があっけなく崩れ去るのは時間の問題。かつてのITバブルと同じく、今回のAIバブルも必ず弾けます。そもそもダウ平均や日経平均という神輿をわずかな担ぎ手で支える構図はいかにも異常であり、次に起こる世界的な株価大暴落は、1929年に始まった世界恐慌レベルの規模になるはずです。言うまでもなく、その時、市場から逃げ遅れた投資マネーは全て、水泡に帰すことになります」
山高ければ谷深し。空前のバブルは空前の大暴落を引き起こすということだ。
(石森巌/ジャーナリスト)

