バクー市街地サーキットで開催されているF1アゼルバイジャンGP。決勝グリッド順を決める予選セッションは計6回の赤旗中断と未曾有の大混乱となったが、最終的にレッドブルのマックス・フェルスタッペンがポールポジションを獲得。ここまで苦しい状況も続いたそのチームメイトである角田裕毅が6番手となった。
今季の日本GPから急遽レッドブルに昇格した角田にとっては、この6番手がチーム加入後最上位グリッド。前戦イタリアGPからアゼルバイジャンGPにかけて行なった苦戦の原因究明が、ショートランにもロングランにもより良く寄与した結果だと本人は考えている。
最速フェルスタッペンから1.026秒差であること、ポール候補の一角であったフェラーリのシャルル・ルクレールやマクラーレンのオスカー・ピアストリがクラッシュでQ3から姿を消す中、ウイリアムズのカルロス・サインツJr.とレーシングブルズのリアム・ローソンがチャンスを掴んで2〜3番手につけたことを考えると、角田の6番手はやや霞む結果とも言える。
しかし角田は3回のフリー走行を通じてマシンのセットアップ変更を繰り返したことで“後手に回っていた”として、決勝グリッド3列目を確保できたことに一定の満足感を示した。
「かなりカオスでした。こういう予選では常に全てのラップでタイムを記録していくことが最も重要で、簡単ではありません。忙しないセッションでしたが、この6番手を確保することができて嬉しいです」
角田は予選を終えてそう振り返り、こうも語った。
「ここまではセッションごとにマシンに変更を加えていて、他のマシンはこういったアプローチを取っていないと思います。こういったコースでは一貫性が欲しいですからね。そのためセットアップでは彼らのほうが常に先を行っています」
「おそらくはそれが将来的な姿です。金曜日にしっかりと(理想のセットアップを)捉え、一貫性があるプログラムです。少なくとも今のところは、このマシンに関する理解を深めることはできています」
また角田は、前戦イタリアGP後に実施したシミュレータ作業の中で発見したセットアップとドライビングのヒントをバクーで活かし、それらが上手く作用したと明かした。
「僕がマシンに加えた変更が本当に上手く機能しているみたいです。そして僕のドライビングの微調整もあります」と角田は言う。
「ここ1週間は僕が改善できるのはどこか、僕がどうしてこれほど遅れているのかを見つけるため一所懸命に努力して、シミュレータ作業も何度かやりました。そこで発見があり、今回のコースに適用したところ非常に上手くいきました」
レッドブル昇格後、角田は予選ではフェルスタッペンとのタイム差を徐々に縮めることができていた一方、決勝のロングランでは依然として大きな差をつけられており、チームとしても“クリーンな参考データ”を角田に求めていた。
しかしアゼルバイジャンGPフリー走行2回目の決勝想定プログラムで角田は、コンパウンド差こそあったものの、フェルスタッペンと同等のペースで周回を重ねており、ロングランでも改善の傾向が見られた。
角田はセットアップやドライビングの微調整によって「全てにおいて理解が進んだ」として決勝レースにも期待感を示した。
「ロングランでは、これほどまでのペースを刻めたことはありませんでした」と角田はFP2を振り返った。
「僕のデグラデーション(性能劣化)や予選のショートランに関しても、全てにおいてより理解が深まりました。いつもは2回目のアタックでデグラデーションが発生していて、他のドライバーのようなラップタイムを記録することができず、少し奇妙でした。マシンにいくつか変更を加え、ドライビングも改善した結果、かなり良くなりました。特にロングランでその傾向が強まっていました。そこが主な違いです」
そして以前上手くいかなかった理由も今では理解できるようになったか? と尋ねられた角田はこう答えた。
「多少は理解できました。確かに僕のドライビングが原因でもあり、進歩がありました。まだ理想のクオリティやレベルには達していませんが、近づきつつあります」
「明日はレースで多くの周回を走ることになります。そのクオリティを高めると同時にレースでの進歩も目指していきます」

