きっかけは偶然の出会い——自ら切り拓いた舞台化の道
——今秋(2025年11月)には舞台化も控えていますが、構想はいつからあったのでしょうか。舞台化が決まったときはどのような気持ちでしたか?
最初に話が出たのは去年の10月頃で、本決定したのが今年の年明けくらいです。舞台は通常3年前くらいから企画を進めるらしいのですが、今回は決定から公演まで1年未満のスケジュールなので、まさに今も非常にバタバタしています(笑)。舞台化が決まったときは「やった!」と思いました。普通は最初にアニメ化が決まって、話題になったらその後に映画化、舞台化……と進んでいくパターンが多いので、舞台化が先というのは珍しいケースだと思います。
——この舞台化は、どのような経緯で決まったのですか?
これが少し特殊な経緯で……去年の9月頃に、プライベートで友達に誘われて舞台を見に行ったことがありました。その公演後の食事会にいた中のひとりが、舞台のプロデューサーさんだったんです。私が「漫画を描いています」と伝えたところ、すぐに漫画を読んでくださって。その1ヶ月後ぐらいには、舞台会社の社長さんと一緒に来てくださり「おもしろかったので舞台化させてください」「来年の11月にこのホールが空いています。ここでやりたいです」とお話をいただきました。思いがけないタイミングで、ひょんな繋がりからいただいたお話だったんですよ。ご縁ってすごいですね。
余談ですが、実はこの舞台と同日程で、私が漫画家を目指すきっかけとなった作品も舞台化が決定し、なんだか運命を感じています。
——そんな偶然がきっかけとは!これまでの努力の積み重ねと運の強さで実現した舞台化なんですね。今回の舞台制作の中では、具体的にどのような点に関わっているのでしょうか?
ありがたいことに、舞台会社さんが意見を求めてくださるので、衣装監修やビジュアル撮影、キャスティングや脚本など幅広く携わらせていただきました。
——とくにこだわって意見を出した部分はありますか?
ビジュアルの忠実さにはこだわりました。ビジュアル撮影のときに、瞳の色が日本人のままだったのですが、作中に登場するのはヨーロッパの人物なので黒い瞳では違和感があると思いました。当初は演出家さんの意向としてカラコンをつけたくないということだったのですが、コミックの表紙でも一番こだわっているのはキャラクターの目の発色なので、そういったことも率直にお伝えして調整いただくことになりました。ヘアメイクさんも、変更を見据えてカラコンを準備してくださっていたんです。また、ウィッグの髪質も非常にリアルなので、髪や瞳といったディテールにもぜひ注目してほしいですね。
——公演が非常に楽しみですね!最後に、今後の目標についてお聞かせください。
一番の目標は、体調を崩さず長く漫画家でいることです。どの仕事も“続けること”が最も難しいですから。あとはやっぱり、アニメ化を実現したいですね。舞台も好評ならば2回目もできたらいいなと思いますし、巻行ペースも早めなきゃで……(笑)。目標はたくさんあります。アシスタントさんや編集さん、そして原作者である岡達先生に対して感謝とリスペクトの気持ちをもって、人として謙虚でいることは常に忘れずにいたいです。

改めて「わたコロ」を生み出してくれた岡達先生、出会わせてくれた編集部の皆さま、応援してくださる読者の皆さま、本当にありがとうございます。最後まで全力で描かせていただきます!(おしばなお)
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おしばなお●芸大を卒業後、アシスタント期間を経て漫画家デビュー。『王太子様、私今度こそあなたに殺されたくないんです!〜聖女に嵌められた貧乏令嬢、二度目は串刺し回避します!〜』(漫画:おしばなお、原作:岡達英茉、キャラクター原案:先崎真琴)を講談社にて連載中。
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