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水戸を勝たせたい「その気持ちは誰にも負けない」。初のJ1昇格に王手。小島耕社長は言う「喜びにむせび泣く大崎が見たい」

水戸を勝たせたい「その気持ちは誰にも負けない」。初のJ1昇格に王手。小島耕社長は言う「喜びにむせび泣く大崎が見たい」


 90+5分、右サイドからのクロスボールがゴールラインを割ると、水戸ホーリーホックの1-0の勝利を告げる試合終了のホイッスルが鳴り響いた。

 J2首位の水戸が敵地に乗り込んだヴァンフォーレ甲府とのアウェーゲーム(J2第35節)は、1点を争う緊迫感あふれる拮抗戦。ギリギリの勝負を制し、初のJ1昇格へ前進する勝点3を掴み取った分だけ喜びもひとしおのはずが、ゲームキャプテンの大崎航詩は意外にも落ち着いていた。その理由を本人はこう語る。

「J1昇格が決まったら崩れ落ちるかもしれませんが、まだ何も決まったわけではないですし、自分の中で緊張の糸を切らさないようにというか、目の前の結果で一喜一憂しないようにすることは心掛けています。(クラブの最高順位を更新する)プレーオフ(PO)圏確定も、まだJ1昇格に向けたほんの一部に過ぎないですし、J2はここから何が起きても不思議ではないリーグですから、オープンな感情は出さないようにしています」

 次節、RB大宮アルディージャ戦で勝利したうえで、他会場の結果次第では偉業達成が決まる。J1昇格に王手をかけた甲府戦。夢のトップカテゴリーまであと一歩に迫っても、背番号3に慢心する様子はない。
 
 なお甲府戦での大崎は出色のパフォーマンスだった。「小学生の頃から培ってきた、ここでやられたらピンチになるなという感覚」を拠りどころにした危機察知能力を存分に活かし、相手の危険な攻撃の芽を摘み取るシーンは、一度や二度ではなかった。63分には齋藤俊輔がボールをロストした直後、左サイドのカバーに回り、相手の前進を阻んだシーンは印象的だった。大崎は言う。

「危険な形に繋がる1つ前の局面で潰せたらという狙いはありますし、ボールを持っている選手は1人を抜くと、少し気の緩む部分が絶対にあるので、すかさず僕1人でもカバーに回って潰すことは意識しています。1人目は相手にかわされるとしても、2人目としてのアプローチで相手を潰しにいくことも心掛けています」

 また1点を追い掛ける試合終盤の甲府はロングボールを多用。意図的にゴール前でカオスな状況を作り出してきたが、最終ラインの前でロングボールをはね返す大崎の守備能力が無失点勝利に一役買っていた。シーズン途中、サイドバックが主戦場だった大崎をボランチにコンバートした森直樹監督は、中盤の底での守備能力について、試合後の会見でこう評価していた。

「守備に関しては、ほぼパーフェクトに近いと思っています。本当にいてほしいところにいてくれますし、球際や空中戦でも負けません。強度もすごく出してくれています。攻撃の配球は課題ですが、今季からボランチでプレーするようになって、本当にチームの助けになっています」

 大崎は加入5年目の古株で、大阪体育大卒の生え抜き。選手の入れ替わりが激しいクラブの中ではレアなキャリアだが、水戸のために戦ってきた先人たちの背中を見守ってきた立場でもある。「僕は水戸から巣立った選手も、引退した選手も見てきた。そういった方々のいろいろな思いが繋がって今の結果がある」と大崎は言う。
 
 甲府戦の勝利でPO圏の6位以内が確定。2019年の7位を更新するクラブ歴代最高順位だ。大崎は総得点の差でPO圏に食い込めなかった当時を知らない世代だが、シーズン序盤からゲームキャプテンを務めてきた渡邉新太が負傷離脱を余儀なくされて以降、その証である腕章を託された。こうして誕生した“ゲームキャプテン大崎”は、指揮官の親心に結果で応えようとここまで奮闘している。

「僕はずっと新太君の背中を見てきたので、新太君のような選手がキャプテンマークを巻くにふさわしいと思っているため、僕がふさわしいかどうかは分かりませんが、森監督から毎試合、託されているからには、その責任は全うしたいです。

 5年間、水戸にいる僕は、このチームを勝たせたいという思いが一番強いと思っています。その気持ちは誰にも負けないですし、その覚悟でここまで戦えています。このキャプテンマークが、自分をより奮い立たせてくれていると思っています」

 大崎の心意気を伝え聞いた水戸の小島耕社長は、目を潤ませながら、クラブの資金が決して潤沢ではないなかで、クラブの取り組みにも理解を示し、積極的に地域貢献活動に取り組む彼の躍動に毎試合、胸を打たれていると明かした。
 
 また“ラストプレーの失点”で敗れたジェフユナイテッド千葉との上位対決(33節/0-1)後、チャントで選手たちを送り出した水戸サポーターの姿を前に、ロッカールームへと引き上げてくる大崎の目には光るものがあったという。「悔し涙ではなく、喜びにむせび泣く大崎が見たい」とは小島社長の言葉だが、その気持ちはきっと水戸サポーターの総意だろう。

 クラブの歴史を塗り替えても、「また次に向けた戦いが始まっただけ」と大崎。次なる“歴史のアップデート”は、クラブ史上初のJ1昇格だ。

取材・文●郡司聡(スポーツライター)

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配信元: SOCCER DIGEST Web

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