2025年スーパーGT最終戦、61号車SUBARU BRZ R&D SPORTはGT300クラスの2位でチェッカーを受けた。第5戦鈴鹿と同様、ポールスタートからポジションを落としての悔しい2位となったが、今回でラストランとなるEJ20エンジンは堂々たるパフォーマンスを見せた。
“昭和生まれ”のエンジンとしても知られるEJ20は、スバルがWRC(世界ラリー選手権)に参戦していた頃から活躍した名機で、当時から構造は大きく変わっていない。スーパーGTでの高負荷な環境にも耐え得るエンジンとして長年BRZにも搭載され続けていたが、やはりそれにも限界があることは否めず、トラブルが散見されていたことから来季から新エンジンで参戦することとなった。
EJ20の今季限りでの“引退”が発表された直後の第7戦オートポリスでも、予選でエンジンが音を上げるなど、スバルは最後まで苦しい戦いを強いられていた。最終戦は2番手以下に1秒以上の差をつけてポールポジションを獲得し、ドライバーの井口卓人、山内英輝は共に明るく陽気に会見に臨んでいたが、今季は何度もトラブルに見舞われているため、決勝に向けて少なからず不安な気持ちもよぎったのではないだろうか。
それでも彼らは、「信じてアクセルを踏む」ということを止めなかった。第5戦鈴鹿の際、レース中にトラブルのことが頭をよぎることはないのかと尋ねると「そうですね。頭悪いんで(笑)」と頼もしい笑顔を見せた井口は、最終戦の予選後記者会見でもこう力強く語った。
「僕たちドライバーは最後までアクセルを踏み抜きたいと思っています。ファンの皆さんにEJ20のエンジンサウンドを堪能していただけるよう、精一杯頑張りたいと思います」
迎えた決勝レースは、井口が前半スティントでトップの座を守って山内にバトンを繋ぐも、タイヤ無交換作戦を採った5号車マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号に前に出られてしまい、逆転叶わず2位に終わった。今季初勝利とはならなかったが、EJ20はラストレースを堂々戦い切った。
WRC時代からEJ20と共に戦ってきたSTIの小澤正弘総監督は、EJ20とのラストレースで感傷に浸るようなことは「意外とないっす(笑)」としつつも、2位という結果を残せたことにホッとしているという。
「本当に良かったと思います。今年はずっと、みんながしっかりやっているのに結果に繋がらないレースばかりでしたが、最後に力を出しきれて、やったことが結果に繋がったので良かったです。勝てないのは残念ですが、そこは実力の問題だったり、相手が我々よりうまく走っていた部分もあると思いますから」
いよいよ来季は新エンジンでの挑戦となる。その全貌はトップシークレットであり、未だ何も明かされていないが、小澤総監督は今後に向けて「これからはとにかくトラブルやそういった類を潰していく作業になるので、細かいところをしっかり見ていきます」と語った。
スバル/STIは例年、年明けに富士スピードウェイでニューマシンのシェイクダウンイベントを実施しているが、今冬はかつてないほどに注目が集まることだろう。

