『腱トレ』で転倒リスクを下げられるか?

この研究は、高齢者のバランスの問題を「筋力」だけでなく「腱の硬さ」という新しい視点から考える大切さを教えてくれます。
筋肉を鍛えることはもちろん重要ですが、それだけでは十分でないかもしれません。
自分の持っている筋力をしっかり発揮するためには、腱に適度な張り(コシ)が必要です。
腱が柔らかすぎると筋力の伝わり方が変化し、結果としてバランスの低下と関連している可能性があると示唆されました。
この知見は「転ばぬ先の杖」として、シニア世代のバランス能力を評価・改善するための新しい考え方を与えてくれます。
では、具体的にどのように応用できるのでしょうか。
研究チームは今回の成果を踏まえ、筋肉を鍛える「筋トレ」だけでなく、腱の張りを保つための「腱トレ」という新しい運動法の有用性を今後検討しています。
アキレス腱の硬さを“適度に”保つ運動プログラムを開発できれば、高齢者のバランス能力を向上させる可能性があります。
また、「年をとると足が遅くなる」「久しぶりに運動したら走れなくなった、ジャンプできなくなった」といった現象にも、腱の柔らかくなりすぎが関係しているかもしれません。
今後、腱を意識した新しい運動法が具体化すれば、より安全に年齢を重ねることにつながるでしょう。
そして未来の社会では、リハビリ施設やジムに「腱トレ」のコースが並ぶ日が来るかもしれません。
【編集注 2025.11.06 00:30】誤字の修正を行いました。
参考文献
「アキレス腱の伸びやすさとバランス能力の関係性を解明」~高齢者はアキレス腱が柔らか過ぎてバランスが悪くなる~
https://www.spu.ac.jp/news/?itemid=2613&dispmid=508
元論文
The medial gastrocnemius fascicle shortening and tendon lengthening in static standing are associated with age-related postural instability in older adults
https://doi.org/10.1152/japplphysiol.00431.2025
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。
編集者
ナゾロジー 編集部

