「自分らしく楽しく努力していれば、いつか自分らしく楽しくはたらける
──今、多くの方に愛されている田辺さんですが、ご自身ではその理由をどのようにお考えですか?

こんなことを言うのもなんですが、私といたら、そりゃ楽しいだろうなって自分で思っています。
おいしいものも知っているし、いろいろなコンテンツも好きだから知っているし。自分らしく生きているから私自身も楽しくて、どんどん知識も増えて伝えていける。「好き」のエネルギーや前向きな気持ちって、周りにも伝染するんですよね。
昔は「みんな、私といても楽しくないだろうな」と思っていたところから、自分らしく仕事をするうちに少しずつ評価してもらえるようになって、考え方が変わっていったんです。
──田辺さんは、ディズニーやグルメ、アイドルなど、好きなものをたくさんお持ちで、お仕事にもつなげられています。「好きなこと」を大切にすると、キャリアにとってどんな良いことがあると思いますか?
忙しくても、好きな気持ちがあれば自然にインプットすることができるんですよね。だから、好きなことを仕事にしていると無理なく努力ができます。
それに、好きなことはリフレッシュにもなるし、人生そのものに彩りを与えてくれる。だからこそ、余裕がなくても自分の「好き」は必ず大事にしてほしいです。

──社会人になって好きなことを後回しにしてしまう方や、「好きなことに時間を割いてきたけれど、これまでの経験に意味があったのかな」と思っている方もいらっしゃると思います。
意味がないことなんて、一つもないです。たとえば私は、以前新大久保の韓国人店員に恋をしていて、その当時あまりにも暇だったため、1年間毎日、1日8時間ほど韓国語を勉強していた時期があります。
そしたら、そのあとテレビ番組で韓国アイドルの方と共演することになって、流暢に話すことができたんですよ。
あとは、私はお菓子作りが大好きで200人分のケーキを焼いて劇場に持っていったこともあります。「お金もないのに材料費に何万円も使って、何をやっているのだろう」と思っていましたが、お菓子作りが好きだということが関係者に広まり、徐々にお菓子関連のお仕事が増えていったんです。そして最近、ぼる塾の冠テレビ番組の企画によって、お菓子の本場であるフランス・パリの伝統的なチョコレートイベント「サロン・デュ・ショコラ2025」に私の開発した商品が出品されることになりました。
そのときは無駄かもしれないと思っていても、すべての経験は思わぬ未来につながっていくのだと感じましたね。
ただ、好きなことがない方や、自分がどんな道を歩めば良いのか悩んでいる方もいると思います。そんな方は、もっと気楽に、少しでも興味を持ったことへ一歩踏み出してみてください。私も本当に今までふらふらと回り道をしてきたし、周りの人がキャリアを積み重ねる中で、焦りを感じたときもありました。
それでも、何事も真剣に取り組んでいれば何かしらの形になっていきますし、もし違ったら違ったであきらめて、次の道に進んでみたら良いだけなんです。歩みを止めなければ、いつか「これだ」と思える場所に必ず出会えます。
──最後に、スタジオパーソルの読者である「はたらく」モヤモヤを抱える若者へ、「はたらく」をもっと自分らしく、楽しくするために、何かアドバイスをいただけますか?
いただいた質問が、まさに私の答えでもあるのですが……。自分らしく、楽しく、一生懸命努力していれば、自然と結果はついてきます。やりたいことを一生懸命続けていれば、その想いは必ず伝わるんですよね。
周りから反対されることもあるかもしれません。でも、自身の「好き」な気持ちや直感を、あなただけは信じてあげてください。難しく考えすぎず、自分だけの道を一歩ずつ歩んでみてほしいです。

「スタジオパーソル」編集部/文:朝川真帆 編集:いしかわゆき、おのまり 写真:朝海弘子

