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ロッシやマルケスの”王権を継ぐ者”……と期待された新星アコスタ。でも初優勝に届かない今は『諦めの境地』?|MotoGPライダー独占インタビュー

ロッシやマルケスの”王権を継ぐ者”……と期待された新星アコスタ。でも初優勝に届かない今は『諦めの境地』?|MotoGPライダー独占インタビュー

世界最高峰の二輪ロードレースであるMotoGP。その最高峰クラスで2年目のシーズンを過ごしているKTMのペドロ・アコスタは、将来を嘱望され、2024年にステップアップしてきた。

 アコスタにかけられた期待がどれほどのモノだったかは、当時のニュースを見るのが手っ取り早い……”次世代のマルク・マルケス”という表現だけで、MotoGPを多少なりとも知っているなら彼への期待と注目が理解できるだろう。つまり、将来の王者になるのは彼だという、満場一致の評価があった。そのため「どんな走りを見せるのか?」というよりも、「いつ勝つのか?」という視点で注目された。

 2025年にアコスタはKTMのファクトリーチームに昇格した。しかし2年目の終盤戦となった今も、実は初優勝を果たすことができていない。それどころか後輩の新人フェルミン・アルデゲル(グレシーニ)に先を越されてしまった。

 当初の期待は、あまりにも的外れだったのか? 外野からは焦燥感すら抱かれているが、アコスタは今何を考えているのか? motorsport.comのインタビューに応じた彼は、自身のレースにおける側面だけでなく、滅多に見せない人間らしい素顔も明かした。

Q:バイクに乗っているときと、ライダーとしてのその他の義務を果たしているとき、どちらの方が落ち着ける?

アコスタ:バイクに乗っているときの方がずっと楽だ。ヘルメットをかぶって、自分の仕事をして、自分が主導権を握っている。何をするか、何をしないかを自分で決められる。でもセッションやレースが終わると、スポンサーやブランド対応など、色々こなさなきゃいけない。それが少し大変だ。

Q :ここでは本当の自分でいられる? それとも仮面をかぶる必要がある?

 自分らしくあることが一番大事だと思う。だって、もしここに10年、15年、20年いなきゃならないとして、その間ずっと“偽りの自分”を演じ続けるなんて、きっと疲れ果ててしまう。

 もちろん、好きではない部分についてもプロとして対応しなきゃいけないということは学んだけど、周りの人に“本当の自分”を知ってもらうことはすごく大事だ。もし自分のイメージを偽っていたら、夜に安心して眠れないと思う。

Q:正直に自分を出すと、問題が増えることもありそうだが?

 気にしないよ。人は人だ。どうこうできるものじゃない。ある人は自分を好きになるし、別の人はそうじゃない。フォロワーが増えるか減るかも関係ない。大事なのは、自分らしい自分で平和にいられることだね。

Q:高級車や贅沢に興味がないように見える。同年代の成功者としては珍しいのでは?

 金なんて、今の自分には一番どうでもいいことだ。もし30歳とかになって家庭を持つようになったら、色々気にしなきゃいけないことも増えるだろうけど、今はまだ母と一緒に暮らしてるし、移動もバンに乗っているからね。

 身の回りの人たちがすごく地に足のついた連中ばかりだから、自分も変わらずいられる。昔からの友達とつるんで、ライダーとして稼ぐ前と同じように過ごす。それが一番落ち着かせてくれるんだ。もし付き合う人が変われば、当然自分も変わっていく。でも今の自分は、昔からの仲間と(地元のスペインの)ムルシアの街で夕食をとるのが幸せなんだ。

Q:瞬く間に有名になったわけだが、どうやって対処したの?

 最初の頃は、ムルシアで自分のことを知らない人も多かった。レストランに行くと、注目もされたけど、4年も同じ店の同じテーブルに座ってたら、もう全てが普通のことになったよ。

MotoGPライダーとして最も贅沢をしたことは?

Q:MotoGPライダーとして最も贅沢をしたことは何?

 自分のバンだね。旅に出られるように、自分で作り上げたかったんだ。実現できて最高にハッピーだ。

Q:ここまでの今シーズンには満足している?

 正直に言えば、もっと良くできた可能性はあった。これまでで一番難しい年になっているよ。

 Moto2の初年度は“失敗だった”と思ってたけど、今ならあのシーズンをもう一度やりたい。だってあの年は3勝したんだから。

 シーズン最初のレースから自分に課した目標を変えざるを得なかったのは本当にきつかった。なかなか受け入れられなかった。

Q:まだ21歳で、Moto3とMoto2ではチャンピオンにもなっている。それでも焦っているの?

 それが自分なんだ。勝ちたいんだ。金では満たされない。満たされるのはここで“勝つ”か“戦う”ことだけだ。でも今年は本当の意味で“戦えていない”。レースで走って、周回を重ねて、良いレースも悪いレースもあったけど、本当の戦いじゃなかった。

Q:まだMotoGPで勝利できていないことには、どんな気持ちなのか。

 諦めに近いと思う。僕は今がキャリアの中で一番良いライダーになっていると思うし、1勝どころではなく、勝てる力があると確信している。でも、頭の中で立てていた“理想の計画”を変えなきゃいけないと受け入れたとき、自分を責め続けることはないと気がついた。

 自分の手の届く範囲に集中しようと思えるようになった。足りない部分やコントロールできないことにこだわっても仕方ない。それは自然に訪れる。“人生はもっと良いものを準備してくれている”と信じている。

Q:過去3戦で2度表彰台に上った。マレーシアでは勝利したアレックス・マルケスから3秒以内の差だったけど、あの日は勝てると思っていた?

 アレックスはスタートから凄くアグレッシブで、僕とペッコ(フランチェスコ・バニャイヤ/ドゥカティ)を抜くために全力でプッシュしていた。序盤はスピードが足りなかったけど、それから速さを取り戻して、タイヤも温存できた。優勝は可能だと感じていたよ。

ロッシ、ロレンソ、ペドロサそしてマルケス時代への想い

Q:以前、「ライダー同士の仲が良すぎてチャンピオンシップの緊張が薄れている」と語っていたが、今でもそう思っている?

 ああ。ロッシとロレンソ、ロレンソとペドロサ、ロッシとマルク……あの頃のレースは本当にエキサイティングだった。あのバトルはファンをソファから立ち上がらせていた。

 今は少し違う。でも他のライダーもみんな僕と同じものを求めてる。もしそのために僕を踏み越える必要があれば、そうするだろう。僕も自分の目標、つまりMotoGPタイトルを勝ち取るためにすべてを捧げる。24時間そのことばかり考えてる。ここに友達を作りに来たわけじゃない。本当の友達はもう外の世界にいるんだ。

Q:今年の序盤には2026年に向けてKTM以外の道を探していて、結果実現しなかったことは周知のことになっている。当時より不安は薄れているようにも見えるけど、どういう風に対処してきた?

 焦ってたのかもしれない。でもそれはプロジェクトへの疑念だけじゃなく、自分自身を疑い始めてたんだと思う。

 MotoGPに来る前は、いつも最高のマシンに乗っていた。だからライディングに集中するだけで、“負けたら自分のせい、勝ったら自分のおかげ”というシンプルな世界だった。でも今年は、バイクを信じすぎて、すべての責任を自分に背負わせてしまった。思うようにいかないと、自分を責め続けてたんだ。

Q:その悪循環から、どうやって抜け出したの?

 周りにいい人たちがいることが大事だ。目を開かせてくれる人たちがね。マネージャーのアルバート・バレラや仲間たちが、『クラッシュは限界を超えた結果であって、すべてが自分のせいじゃない』と気づかせてくれた。

 オーストラリアのようにタイヤがすぐダメになるレースもある。そんなことを自分の責任にしても意味がない。結果が悪かったからって一日中ふてくされてても、何も変わらない。大事なのは、自分でコントロールできることに集中すること。そして自分の可能性を忘れないこと。それが一番忘れやすことなんだけどね。

Q:ライダー市場が開く時期も早まっている。2027年に向けて、既に目標を決めているのか?

 今は2027年の移籍市場のことはそこまで気にしてない。今年の夏以降のように強い走りを続けられれば、時期が来たときにドアは開いているはずだ。KTMが良くなれば、それもまたチャンスだ。バイクに詳しい人なら、僕が勝つために何を逃しているのか、ハッキリと理解しているはずだ。

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