・警察署へ
それから2日後。
私は〇〇警察署行きのバスに揺られていた。
警察署で受付けを済ませると、対応してくれたのはCという刑事さん。年齢は20代前半だろうか?
刑事課の取り調べ室に通されると、机の上のは見覚えのある財布が。
財布の中のカードを1枚1枚確認していると、年配の別の刑事さんが入って来た。
するとぶ厚いファイルの1ページを開き、私にこう問いかけてきたのである。
年配の刑事「お亡くなりになっていたのはスリランカ国籍の方でした。
パクさん、この方に見覚えはありませんか?」
在留カードのコピーの中にいたのは、メガネをかけたロン毛の男性。
判別はつきにくいが、せいぜい30代前半といったところだろう。
当然見覚えが無かった私は「うーん、ありませんね」と回答。
すると年配の刑事さんは「そうですか」と言い残し、すぐに取調室を後にした。
・なんだったのか
私はカードの説明を受けながら、Cに気になっていたことをいくつか質問することに。
1つめは「私の財布がスリに遭って、その家に別の財布もあったのでは?」という可能性についてだ。
するとCは「いえ、パクさんの財布だけでした。パクさんの財布は玄関に置いてあったんです」と教えてくれた。
C氏「これが鞄の中だと我々も “盗ったんじゃないか?” と疑うんですが、玄関だったもので。
もしかしたらこれから届けようとしていた可能性もあったのかな、と」
さらに私はもう1度この前の質問した。その方は「自殺だったのか? それとも他殺だったのか?」と。
C氏「正直にお伝えすると “死因不詳” なのでまだ何とも言えません。ただ現在のところ事件性は無いという方向で動いています」
後で調べたところ、死因不詳とは「死因が特定できない状態」のことだという。
ドラマなどで見る「遺体の検視」は、この死因不詳のケースに執り行われるようだ。
最後に「私は容疑者だったのか?」とも単刀直入に聞いてみた。すると……
C「パクさんが容疑者? そうですね、我々としてもあらゆる可能性を探らないといけないので。
遺体のある部屋の玄関にパクさんの財布があったので「んん?」とは思いましたよ(笑)」
・奇妙な実話
事実だけを申し上げると、私が失くした財布はさほど遠くない区にあるスリランカ国籍の方の自宅にあった。
この件について私は亡くなった方を少しも恨んではいないし、その方が盗ったとは1ミリも思っていない。
どういう巡り合わせだったのか今となっては解明できないが、むしろ財布を戻してくれて感謝の念すら抱いている次第だ。
冒頭で申し上げた通り、この話にオチは無い。
ただ財布が失くなったことをきっかけに「奇妙な出来事に巻き込まれかけた」という話である。
最後に、亡くなったスリランカ国籍の彼のご冥福をお祈りいたします。
執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.
