2026年はバルセロナにとって会長選の年になる。現職のジョアン・ラポルタ会長の任期は来年6月30日で満了を迎える。トップが交代する影響はどの組織でも大きいが、政治色の濃いバルサでは一層の注目を集める。
本命は、すでに再選への出馬を表明しているラポルタだ。しかし、経済学者エンリク・ジョベ氏はこう語る。「現実は火薬の臭いがする。説明を求める者は無視され、ラポルタの演説は彼の統治スタイルをそのまま映している。熱狂的な支持者にとっては魅力的だが、組織の透明性という観点から見れば危うい。カリスマ性と派手な言動で信頼を求めるが、疑問が多く、支持者は徐々に離れつつある」。盤石に見えても、死角は存在するという指摘だ。
一方で、スペイン紙『SPORT』の元編集長ジョゼップ・マリア・カサノバス氏は、ソシオ(クラブ会員)の関心がどこにあるかを強調する。「バルサのソシオにとって最も大切なのはチームの勝利であり、それ以外は優先順位が低い。彼らは楽しむために会費を払っており、財政や負債、ガバナンスにはほとんど関心がない」。その点、スポーツ面での立て直しに着手したラポルタは、ハンジ・フリックを招聘してチームを新たな方向へ導いた。
カンプ・ノウの再オープンをめぐっては紆余曲折が続くが、もし予定通り再開すればラポルタは自らの功績としてアピールするだろう。さらに、『SPORT』の現編集長ジョアン・ベイルス氏が「彼は並外れた発信力を持ち、自信をもって語りかける。注目を浴びるのが好きで、必要とあらばためらわず大衆迎合に走る」と語るように、ラポルタはメディア対応でも抜群の存在感を放つ。
対照的に、反対派には勢いがない。作家で熱心なバルサファンのウーゴ・スコッシア氏は、「現状では有力な対抗馬が見当たらない。彼らは慎重で控えめな言葉に終始し、情熱が伝わってこない。ファンの心に直接訴える力がなく、混沌の中でこそ輝くラポルタとは対照的だ」と嘆く。 そんな中、マドリードの日刊紙『ABC』が衝撃的なニュースを報じた。「リオネル・メッシが、ラポルタをクラブから追い出す候補者を探している」。事実なら、ラポルタ優勢とみられていた情勢を揺るがす一報だ。
2021年の会長選での公約を反故にし、突然扉を閉める形で退団の道に追い込んだラポルタの仕打ちをメッシは忘れておらず、2人の関係は冷え切ったままだ。とはいえ、メッシの協力を得られれば、どの候補者にとっても大きな追い風となる。
しかし『SPORT』副編集長アルベル・マスノウ氏は懐疑的だ。「メッシはインテル・マイアミと2028年までの契約を結び、キャリアをMLSで終えるつもりだ。家族もマイアミの生活に満足しており、今さら誰かに電話して会長選の話を持ちかける姿は想像できない」。
『ABC』はスペイン有数の信頼あるメディアで、根拠のない報道はしないだろう。だが、裏を返せば、こうしたニュースでも出てこない限り、ラポルタの地位は揺るがない。
スコッシア氏は「真正面から議論を交わす度胸と、明確で魅力的なビジョンを掲げる候補が現われなければ、ラポルタが難なく再選を果たす」と見ている。
文●下村正幸
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