マクラーレンのランド・ノリスは、赤旗中断6回という大波乱となったF1アゼルバイジャンGP予選を7番手で終えたが、ポイントリーダーであるチームメイトのオスカー・ピアストリに対する差を縮める機会を逃したとは考えていない。
アゼルバイジャンGPの予選はQ2までに赤旗が4度出る荒れた展開だったが、マクラーレンの2台は無事にQ3へと駒を進めた。しかしポツポツと雨が降り始める中でフェラーリのシャルル・ルクレールがクラッシュ。5度目の赤旗が出されたが、波乱はそこで終わらなかった。走行再開直後、今度はピアストリがターン3でウォールの餌食となったのだ。
タイトル争いのライバルであるピアストリとの31ポイント差を縮める必要があるノリスにとっては、チャンスとも言える状況だったが、ノリスは7番手止まり。決勝レースではピアストリのすぐ目の前からレースをスタートすることになった。
一方、レッドブルのマックス・フェルスタッペンは難しいコンディションの中で1分41秒117を叩き出した。ウイリアムズのカルロス・サインツJr.がQ3序盤に記録したタイムを上回り、サインツJr.の衝撃的なポールポジション獲得を阻んだ。
ノリスはターン15で痛恨のミスを犯し、コンマ数秒をロスしたが、全体的にグリップ不足に苦しみ、フェルスタッペンから1秒以上遅れてしまった。
ノリスは隊列の先頭でQ3最後のアタックを開始したこと、カオスなセッションを小雨がさらに難しいコンディションにしたことがその原因だと説明した。だからこそノリスは、予選でチャンスを逃したのだという見解を強く否定した。
「いいや。だって僕はできることは全てやったんだ」と彼は答えた。
「もし全てのレースで勝てていたら、今頃世界チャンピオンになってたかもしれない。でもそうはならなかったんだ、わかるだろ?」
「最終的に、最初にコースに出たのは間違った判断だった。だけどもし僕の後ろで誰かがコースアウトしてイエローフラッグが出ていたら、君はこんな質問なんてしてないだろう。ここでは運が味方する時もあれば、そうでない時もある」
「僕たちはより良い選択をしたと思ったんだ。雨が降っていなければそうだったと思うが、最後の走行の前にまた雨が降り出したから、最初にコースに出るのは間違いになってしまった」
「これは教訓となるが、ポールポジションを狙えるチャンスは毎週末ある。僕は毎週末それを目指している。今日は最善の判断ができなかったから、より苦戦した。だがそれは後からだから分かる話で、当時は間違った判断ではなかった」
カスピ海から吹く強風が予選を混乱させ、史上最多となる6度の赤旗中断が発生した状況下で、上位グリッド獲得の機会を逃した自身の苦境を踏まえ、ノリスはこの事態に驚きはなかった。
「本当に信じられないよ。風の影響がどれほど大きかったか、皆に理解してもらいたい。今日起きたクラッシュの半分は、おそらく風によるものだろう」
「ターン4では(アルピーヌのフランコ)コラピントがクラッシュしたけど、多くのドライバーがブレーキロックを起こした」
「人生で最悪のコーナーのひとつに感じた。50km/hの追い風の影響だ。次の周回で風が10km/hに減速すると『もう少し速く行ける』と感じる。実際にスピードを上げると、壁に突っ込むことになる」
7番手と9番手からスタートするノリスとピアストリは、FP2のロングランで圧倒的な強さを見せたフェルスタッペンに勝つには険しい道のりが待っている。
ノリスは、マクラーレンのマシンが扱いにくい状態にある中、順当な予選でもフェルスタッペンには勝てなかっただろうと感じていた。
「見応えのあるレースになることを願うが、僕たちはマックスを倒せるペースではなかったと思う」
「彼はとにかく速い。週末を通して一貫して速かった。モンツァでも簡単に勝ったし、ここでもまた勝てるだろう。優勝についてはわからないけど、僕たちは表彰台を狙っている」
「前にいる多くのマシンがアウトオブポジション(実力とは違うグリッド)にいるのは良いことだけど、このコースはオーバーテイクが容易ではない。昨年はシャルルがオスカーよりずっと速かったのに、それでもオスカーが勝ったんだ」
「燃料が多い状況での走行はまだ行なっていないので、まだ答えを出さなければならない疑問がたくさんあるし、オスカーのロングランも調べなければならない。これから長い夜になりそうだ」

