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『ばけばけ』女中に「月20円」出せる超高給取りのヘブン先生 実はアメリカ時代に商売を始めて「大失敗」してた?

『ばけばけ』女中に「月20円」出せる超高給取りのヘブン先生 実はアメリカ時代に商売を始めて「大失敗」してた?


『連続テレビ小説 ばけばけ Part1 NHKドラマ・ガイド』(NHK出版)

【画像】え…っ! 夫婦で立って並ぶと「なんか小っちゃくてかわいい」 コチラが小泉八雲さん(ギリシャ人)と小泉セツさん(日本人)の身長差です

作家としては偉大だけど「経営」では大失敗?

 2025年後期のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』は『知られぬ日本の面影』『怪談』などの名作文学を残した小泉八雲(パトリック・ラフカディオ・ハーン)さんと、彼を支え、さまざまな怪談を語った妻の小泉セツさんがモデルの物語です。

 第5週から日本にやってきた主人公「松野トキ(演:高石あかり)」の未来の夫「レフカダ・ヘブン(演:トミー・バストウ)」は、松江中学の英語教師として月100円の月給をもらっています。彼の世話をしている花田旅館の女中「ウメ(演:野内まる)」の月給が90銭、同じ新任の教員(非正規)という立場のトキの親友「野津サワ(演:円井わん)」が月給4円である点を踏まえると、とてつもない高給取りです。

 28話では花田旅館を出ることにしたヘブンが、身の回りの世話をしてくれる女中に「月20円」を出すと言っていることも話題になりました。モデルのラフカディオ・ハーンさんも、1890年に島根県尋常中学校と師範学校の英語教師として月100円の給与をもらっており、これは当時の島根県知事・籠手田安定さんに次ぐ高給だったそうです。

 ただ、ハーンさんは日本に来るまで、お金に困ることの多い人生を送っていました。彼もヘブンのように主に新聞記者の仕事をしていたのですが、生活は安定せず、さらに意外な商売に手を出して大失敗したこともあったそうです。

 ハーンさんは1850年6月にギリシャのレフカダ島に生まれ、幼い頃の両親の離婚によって、大叔母のサラ・ブレナンさんのもとで育てられます。厳格なカトリックのサラさんのもとでの暮らしは、ハーンさんにとって楽しいものではありませんでしたが、彼女が資産家だったため生活には困らず、教育を受けることもできました。

 しかし、聖カスパード校という神学校に在学していたとき、サラさんが親戚の青年の事業に出資したせいで破産し、17歳のハーンさんは退学を余儀なくされます。彼は一文無しになってロンドンのスラム街で1年を過ごした後、1869年に19歳でアメリカにわたりました。渡米後も最初の下宿先の代金が払えず追い出されるなど、かなり苦労したそうです。

 そんなハーンさんは1874年にオハイオ州シンシナティのシンシナティ・インクワイヤラーという新聞社の正社員になり、記者としての才能を発揮します。しかし、その頃に州の法律を破って白人と黒人の混血であるマティ・フォリーさんという女性と結婚したことが問題視され、彼はインクワイヤラー社を辞めて、別の新聞社に転職することになりました。

 そして、マティさんとの結婚生活も破綻し、ハーンさんは1877年の10月、シンシナティからルイジアナ州のニューオーリンズに移り住みます。そこでもデイリー・シティ・アイテムという新聞の準編集者の職を得ますが、その後の彼にはある大失敗が待ち受けていたのです。

 アイテム社の給料は週10ドルほどで、シンシナティ時代に最高で週25ドルも稼いでいたのと比べると、ハーンさんの収入はだいぶ落ち込んでいました。そこで、彼は週2ドルしか使わない倹約生活を続けて100ドルをため、とある人物と1879年3月に「不景気(ハード・タイムズ)」という食堂を開いたそうです。

 だいぶ縁起の悪い名前のこの食堂は、なんでも1品5セントという、破格の値段設定でした。職場のアイテム紙に載せたビラには、「南部で一番安い料理店」「なんだって相場の半額」という文句が踊っていたそうです。

 ただ、この食堂は1か月もしないうちにつぶれてしまいました。なんと、相棒として一緒に店を始めた男が、売り上げを持ち逃げしていなくなってしまったのです。この相棒は「コーヒーがまずいという客を殺しかねない凶暴な大男」だったそうで、一緒に働く相手を完全に間違えたといえます。

 その後、とある建物会社に出資して失敗するという経験もしたハーンさんは、20代の終わりに商売はやらずに物書きとして生きていく決意を固めたそうです。もし食堂「不景気」がうまくいっていたら、その後の歴史も大きく変わっていたかもしれません。

※高石あかりさんの「高」は正式には「はしごだか」

参考書籍:『八雲の妻 小泉セツの生涯』(著:長谷川洋二/潮出版社)、『小泉八雲 ラフカディオ・ヘルン』(著:田部隆次/中央公論新社)、『小泉八雲 漂泊の作家ラフカディオ・ハーンの生涯』(著:工藤美代子/毎日新聞出版)

※記事本文を修正しました(2025.11.6 10:39)

配信元: マグミクス

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