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プレミアで堂々5位。ボーンマス、なぜ強い? 戦術的成熟、移籍市場での慧眼、個の成長。3つの要素が見事に融合【現地発】

プレミアで堂々5位。ボーンマス、なぜ強い? 戦術的成熟、移籍市場での慧眼、個の成長。3つの要素が見事に融合【現地発】


 イングランド南部の海沿いの街、ボーンマス。長らく「堅実な中堅クラブ」「残留争いの常連」との印象が強かったこのクラブが、今季プレミアリーグで予想外の躍進を遂げている。

 シーズンの約4分の1が経過した10節終了時点で、成績は5勝3分け2敗。勝点18を積み上げ、順位は堂々の5位だ。先週末のマンチェスター・シティ戦で敗れる前までは、なんと2位につけるほどの快進撃を見せていた。

 では、なぜこの小さなクラブが世界最高峰プレミアリーグの上位争いに食い込んでいるのか。その理由は1つではない。ピッチ上の戦術的成熟、移籍市場での慧眼、そしてチームを象徴する個の成長――この3つの要素が見事に融合している。

 まず鍵となるのは、アンドニ・イラオラ監督の存在である。スペイン出身の指揮官は、ラージョ・バジェカーノ時代から一貫して「攻守の切り替え」と「ハイプレス」を軸にしたサッカーを志向してきた。ボーンマスでもその哲学は徹底され、就任3年目を迎えた今季は、チーム全体のプレッシング強度と統一感がかつてないほど高まっている。

 ピッチ上では、ボールを失った瞬間に前線の選手が一斉に守備のスイッチを入れる。奪われた瞬間からボール奪取に走り、マイボールにすれば、縦に素早く仕掛ける――それがボーンマスの生命線だ。
 
 ボールを取り戻すスピード、そして奪ってからフィニッシュまでの切り替えは、上位勢にもまったく引けを取らない。スポーツサイトの『ジ・アスレティック』が「超攻撃的な守備」と形容しているように、ハードワークと一体感が生むアグレッシブなサッカーで勝点を重ねているのだ。実際、ジョゼップ・グアルディオラ監督はこう証言している。

「最新のモダン・フットボールとは、ボーンマスやニューカッスル、ブライトン、リバプールのようなサッカーのことだ。現代のサッカーは“ポジショナル”ではない。リズムに乗らなければならないんだ」

 この戦術的成熟を下支えしているのが、クラブ経営陣の的確な補強戦略である。

 今季開幕前の下馬評は決して高くなかった。理由は明白で、主力選手の大量流出にあった。

 夏の移籍市場でCBディーン・ハイセン(→レアル・マドリー)、CBイリヤ・ザバルニー(→パリ・サンジェルマン)、左SBミロシュ・ケルケズ(→リバプール)と、最終ラインの主力を3人も失った。さらに、昨季のレギュラーGKとして君臨したケパ・アリサバラガ(→アーセナル)も退団。守備陣の中核5人のうち4人を手放す事態となり、多くの専門家が「苦戦は避けられない」と予想していた。夏の選手売却額は2億ポンドを超えていたのだ。

 しかし、蓋を開けてみればチームは失速どころか、むしろ上昇した。英紙『デーリー・テレグラフ』は「欧州サッカー界の食物連鎖の中で生き残る術を知っている」と評し、クラブの戦略を高く評価している。
 
 実は昨シーズンの時点で、ボーンマスは主力の流出をある程度、想定していた。

 ハイセンには5000万ポンドのリリース条項があり、ビッグクラブ行きが確実視されていた。またケルケズにもリバプールから関心が寄せられ、早い段階から代替案を準備していたのだ。

 左SBについては、1月の時点でレンヌ所属のアドリアン・トルフェールと交渉を開始した。今夏に加入したこのベルギー生まれの左SBは、プレミアリーグのテンポにすぐ適応し、10節までリーグ全試合に出場している。まさにケルケズの理想的な後継者となった。

 レンタルで在籍していたGKケパに対しては完全移籍のオファーを出したが、本人がこの申し出を断った。最終的にケパはアーセナルに向かうことになったとはいえ、ボーンマスはチェルシーからジョルジェ・ペトロヴィッチを獲得した。そのペトロヴィッチは、堅守でチームの好調を支えている。

 そんな用意周到なボーンマスにも想定外の事態が起きた。パリSGによるザバルニー獲得の動きだ。クラブは引き留めたが、最終的に売却を受け入れるしかなかった。

 しかし、ここでも慌てなかった。ボーンマスはすでにリール所属のCBバフォデ・ディアキテと交渉を進めており、移籍を即座に成立させてザバルニーの穴を埋めた。さらに移籍市場最終日には、セルビアの新鋭CBヴェリュコ・ミロサヴリェヴィッチをレッドスター・ベオグラードから獲得。“パニック買い”とは対極の、計画的かつ冷静な補強策が功を奏した。
 
 そしてボーンマスの躍進を象徴する存在が、ガーナ代表FWアントワーヌ・セメニョである。

 今季すでに6ゴール・3アシストを記録し、得点ランキングで2位、アシストランキングでも4位につける。右ウイング、センターフォワード、左サイドと複数のポジションを自在にこなしながら、文字通り攻撃陣を牽引している。

 最大の武器は、爆発的な推進力と判断の速さにある。ボールを受けた瞬間に相手の重心を読み取り、わずかな隙を突いて前へ運ぶ。内に切り込めば強烈なシュート、外に開けば精度の高いクロス。25歳という年齢を考えれば、その完成度は驚異的と言えよう。

 しかも、今後さらに成長する公算は大きい。実際にそのポテンシャルを見込んで、今夏の移籍市場でマンチェスター・ユナイテッドとトッテナムが獲得に動いた。両クラブとも5000万ポンドの移籍金を提示したが、いずれもセメニョの希望もありボーンマス側が断ったという。

 しかし、今の調子を維持すれば、来夏にはユナイテッドやスパーズが提示した移籍金よりもさらに高額のオファーが届くのは確実だ。ボーンマスはその移籍金をもとに、また新たなスターを見つけるはず。まさに「売っても強い」クラブの典型である。
 
 もともとボーンマスは、選手を売却することで発展する「トレーディング・クラブ(選手売買で収益を上げるクラブ)」である。契約時には選手に対し「選手が望むなら、ビッグクラブからの誘いを断らない」と伝えているという。来夏にセメニョがステップアップ移籍を望めば、クラブは止めないだろう。その代わりに、新たな才能を見つけて磨き上げ、再びチームを前進させる――この循環が、ボーンマスというクラブの強さの理由である。

 唯一の懸念は、来夏に契約が満了を迎えるイラオラ監督の去就だ。退任となれば、クラブは再び有能な指揮官を探す必要に迫られる。
 
 しかし現時点では、イラオラの哲学がチーム全体に浸透しており、選手たちもシステムを完全に理解している。さらに、クラブの補強戦略も一体となって機能している。だからこそ、ボーンマスは今季これほどの躍進を遂げているのだ。

 ボーンマスの挑戦は、プレミアリーグという巨大な舞台で、静かにそして確実に新たな物語を紡いでいる。

取材・文●田嶋コウスケ

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配信元: SOCCER DIGEST Web

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