
King & Princeの高橋海人が、9月21日に都内で開催された映画「おーい、応為」完成披露上映会に登場。長澤まさみ、永瀬正敏、大谷亮平、大森立嗣監督と共に舞台あいさつを行い、撮影エピソードなどを語った。
■高橋海人は北斎の門下生・英泉役
江戸時代の型破りな絵師・葛飾北斎の娘であり弟子でもあった葛飾応為(=お栄)にスポットを当てた本作。「美人画では父を凌ぐ」と言われた才を持ち、北斎の右腕として、そして数少ない女性の絵師として、親譲りの豪胆さで男社会を駆け抜けた先駆的な女性アーティスト・葛飾応為の生涯を描いた物語だ。
高橋が演じるのは、葛飾北斎(永瀬)の門下生であり、応為(長澤)と共に腕を磨く実在の絵師・渓斎英泉(=善次郎)。
撮影は2年前に京都で行われたそうで、高橋は「久しぶりに東京でこうやって皆さんとお会いして、この面々を目の当たりにすると身が引き締まりますね。ちゃんと緊張するというか…」と吐露しつつ、「出番前に監督から『ちゃんとボケてね』って言われたんです。ボケられる空気を作れるかなって不安はありますけど、英泉らしく楽しみたいなと思います」と笑顔であいさつした。
時代劇への出演はこれが初めてとなる高橋。あらためてオファーを受けたときのことを聞かれ「自分はずっと絵が好きでやってきて、もちろん北斎という方の名前も知っていましたし、絵にゆかりのある方の作品に出ることができるという、それがすごくうれしくて歓喜しました」と、喜んだことを明かす。
また、大森監督作品への参加という点については「本当に大好きだったのでめちゃくちゃうれしかったです。うれしい作品に出させていただく上で、(共演者の)お名前を見たら、長澤さんがいて、永瀬さんがいて、大谷さんがいて、すごく経験豊富な方々がたくさんいたので、正直その瞬間、心が一気に折れるというか、怖いなというか(笑)。『大丈夫か?俺は』って思ったんです」と振り返る。
そして、「『お芝居は助け合い』という言葉を皆さん言われますけど、僕はもう“戦”というか、戦いに出る気持ちで、どうにか気付かれないようにずっと陰でそう思っていて。今まで経験した少ない武器、荷物を全部持って京都に向かおうという気持ちでやっていました」と、戦々恐々としながらも強い決意を胸に撮影現場に向かったことを打ち明け、長澤を「そんなことを思ってたの?」と驚かせていた。
さらに、その上で「一緒にずっとお芝居させていただいたのはお二人(長澤、永瀬)だったんですけど、一挙手一投足というか、発せられる言葉全てに色気があって、力強さがあって。『すっげぇな~』って思いましたね(笑)。その中で、自分なりに楽しく戦うことはできたかなというふうには思っているんですけど、見ていただいて、皆さんにどう思っていただけるか楽しみですね」と実力派俳優陣の演技に感銘を受けつつ、手応えをにじませた。

■英泉が絵を描くシーンは急きょ追加
本作では長澤、永瀬、高橋の3人は吹き替えなしで絵を描くシーンにも挑戦しており、撮影期間中も自分の撮影が終わってから絵を描く練習をひたすらする日も多かったという。
中でも、高橋演じる英泉の絵を描くシーンは急きょ追加されたそうで、大森監督は「うまいんで、せっかくだったら、と思って急にやってもらいましたね。すいませんね、急に」と謝罪すると、高橋は「いえいえ、めちゃくちゃうれしかったですよ。筆に触れ、絵を描く経験をすることで、少しでも英泉のことを分かった気になれるというか、分かったつもりでいられるというか。役作りをする上での一つ一つが大事だったなと思います」と、真摯(しんし)に振り返った。
さらに、大森監督から「あのシーン見直すと、絵を描いているけど、せりふは違うことを言うのが良かったですね」と称賛されると、高橋は「本当ですか?めちゃくちゃ難しいですよね。僕は“逆聖徳太子”で、一つのことしかできないんです。(聖徳太子は)いろんな方の言葉を聞けるじゃないですか、僕は一つのことしかできないのですごく練習して、喋りながら描くことをやっていました」と述懐。
それを受け、一緒のシーンも多かった長澤は「さらっと描いてのけてしまっていたので、そんな大変な思いをされているとは気付きませんでした。練習の成果ですね」と称賛し、高橋は「うれしいです。練習の成果が出ました。ありがとうございます」と、安堵(あんど)の表情を浮かべていた。
映画「おーい、応為」は、10月17日(金)より全国ロードショー。
◆取材・文=森井夏月(STABLENT)
※高橋海人の「高」はハシゴダカが正式表記

