「いい人を獲ったね」
プロ野球界のオフといえば「補強」。ドラフト会議、トレード、外国人選手の獲得がその3本柱とされ、新たな指導者の招聘や裏方スタッフの「移籍」も、この時期に行われる。
「近年では同一リーグのコーチが、ライバル球団の指導者に迎えられるケースが珍しくありません。でもDeNAの若手指導にあたっていた石井琢朗コーチが、巨人の2軍監督になったことには驚きました。そんな気配は微塵も感じられなかったからです」(スポーツ紙記者)
その巨人の新体制について聞いてみると、返ってきたのが冒頭の言葉である。それも他球団の関係者からのものだ。
「まさにいいブルペン捕手を獲りましたね。楽天のブルペンを長く支えてきた長坂健冶氏が巨人に移ると聞き、投手陣はもちろん、チーム全体にとっても大きなプラスになると思いました」
ライバル球団のスタッフが、そんなふうに褒めていたのだ。
長坂ブルペン捕手は2001年ドラフト8位で近鉄バファローズに入団。2005年から楽天在籍ゆえ、イーグルスの創設メンバーでもある。2007年シーズンで現役を引退し、その後はブルペン捕手としてチームを支えてきた。当時を知るプロ野球OBによれば、田中将大が「ケンさん」と呼び、食事に誘ったりしていたそうだ。
「キャンプ中、早出特打ちをする選手もいます。その打撃投手役を担ってもいました。ブルペンでは田中のパートナーであり、他の主力投手に対しても、ボールを捕りながらその状態を見極めていました。シーズン中は試合の映像をチェックし、各投手の状態を把握していましたね」(楽天関係者)
ブルペン捕手なので、自分から投手にあれこれ言うことはしない。ただし、求められた時に「的確に、短く」伝えられるよう、常に準備をする。今季、日米通算200勝を達成した田中にとって、長坂ブルペン捕手の巨人入りは大きなプラスとなりそうだ。
「則本昂大がクローザーに転向した2024年のキャンプ中、長坂捕手と組んで投げ込みをしていました。先発投手が70%の力でボールをたくさん投げるとすれば、リリーバーは1イニングを全力投手するもの。則本はボールの勢いや強さを確認していました」(前出・楽天関係者)
楽天エースの陰に有能ブルペン捕手あり。ということは、海外FA権を持つアノ投手の去就にも影響してきそうだ。
(飯山満/スポーツライター)

