フリーライドカルチャーの広がりや日本のリゾートを訪れるインバウンドの増加など、バックカントリーをめぐる状況は変化を続けている。その道の事情通であるバックカントリーガイドたちに、いまどきの現場で起きていることや感じることを聞いてみた。
Q. 最近のゲストの傾向や・現場で変化を感じていることはありますか?

バックカントリーの“いま”をもっとも近くで見つめているのは、日々フィールドに立つガイドたち。ここ数年で見えてきたゲストの層や滑り方の変化を尋ねた。

・年々新幹線利用が増えており、駅のピックアップが増えた。
・YouTubeで予習してくる人が増えた。
・雪崩講習会や雪崩業務従事者資格を受験するなど、お客様の勉強熱心な傾向を感じる。

パウダーシーズンのツアー参加者は増加傾向ですが、4月以降の残雪期のツアー参加者はあまり増えていない感じがしています。春のツアーでは、スキーやスプリットボードの機動力を生かして広範囲に移動したり、登山要素が多くなることも楽しさの1つです。そんな楽しみ方もたくさんの人に知ってほしいと思っています。

スプリットボードの使用率が格段に上がってきている。

ガツガツしなくなったと感じます。

慣れている方は、ちゃんと計画に合わせた装備を準備してくださるようになってきたと思います。以前はたくさん歩くツアーなのに、メタル入りの板やテックじゃないビンディングの方がおられたことがよくありました。
ブーツも柔らかく歩きやすいものを選んで下さる方が増えました。おかげで、歩行ペースが安定して、良いタイミングで入れる斜面の選択肢が増えました。

コンディションのいい日は、曜日関係なくお申し込みが多く、みなさんコンディションの見極めが上手になりました。

自身の動画撮影機材を持っていて、ツアーに持参するゲストが増えましたね。

山を求めるファンも、二極化していると感じます。
経験豊富な層はよりビッグなフィールドへ、よりディープに山を求め、中間層の方々はそう広い範囲でなく、少し狭い範囲での自力での行動で満足感を得ているように見受けられます。中間層ではゲレンデにほど近いエリアでの行動が主体ではないでしょうか。

アジア人ゲストもBCに入り始めるなど、海外ゲストがフィールドに溢れている。

アジア系インバウンドのツアー、予約のキャンセルが多いんですよね……
Q. ゲストに 「BCでこれはやめて!」 と思う行動は、ありますか?

自然の中では、ちょっとした油断が大きなリスクに変わる。安全で心地よい山時間を共有するために、ガイドたちが「これだけはやめてほしい」と感じている行動とは。

ご自身の実際の技量以上の自己申告をすることです。

写真を撮ることは、問題ないのですが、雪崩地形を確実に外した場所を指定するので、それを守っていただきカメラを構えていただきたいです。自己判断で滑走中に雪崩地形の中で止まられる方も、初めて参加される方の中には稀におられます。
また、カメラを構えることで緊張して、滑りづらく感じておられる方も一定数おられるので、望んでいない方にはカメラを向けないでいただきたいです。

スプリットボードの使用率が格段に上がってきている。

シーズン初めに多いのですが、マテリアルトラブルがよくあります。
ビンディングのネジが抜けたり、プラスチックが経年劣化で割れたりと、よくあることです。必ずツアー前にネジなどはマス締めし、スキー場ですべての道具を一通り使用してみて不具合がないかを確認してください。
また新品を購入した際も、同じようにスキー場で試してくること。実践のツアーでビンディングの使い方がかわらない、履くまでに10分もかかってしまうなど、他のゲストもテンションが下がりますし、何より本人が楽しめません。初めて使用するものは、スキー場などで一通り練習してからツアーに参加するようにお願いします。

自分中心の行動は危険だと思います。

ツアーのログをアップすること。

・ギアメンテナンスの不備
・非常に稀だがイヤホンしてる。
・急で開けた斜面のボトムで立ち止まる。
・チェストハーネスにウェアブルカメラ装着

これはやめて!ということをすること。自分の限界を超えたオーバースピードで滑走すること。

ガイドの指示を面倒くさがって聞かないこと。
休憩の時にジャケットを羽織らない、エネルギー補給しない、シールを雑に扱うなどなど。滑走前やリスク軽減のための指示はもちろんですが、こういう細かいことも実は安全に直結しています。

ノートラックの場所を求めて過ぎて危険な場所に入り込んでしまうこと。

ゴープロなどで撮りながらの滑走で、カメラを木にぶつけたりして、破損、紛失などで探したりなど、それらに時間がとられること。突然、追い撮りで同時に滑り出すこと。せめて言ってほしいし、どこでもできるわけじゃないです。時と場合によっては OK 出せるところもあるかもしれないけど、ゲレンデとは違うということをわきまえてほしいです。
滑走スキルが BC を滑るレベルに達していない場合や、滑れるけどハイクの体力が極端にない方。やめてとは思わないので、こちらからも聞き取りをしますが、積極的に事前に自己申告してほしいです。

オーバースピードでの滑走や周りを見ない滑走です。

山に、そう絶対的なルールは存在しませんが、皆が心地よく楽しむにマナーがあります。そのマナーを前提に備えない入山者が多く見受けられるようになっています。
管理されない自然の中バックカントリーエリアにおいては、安全管理リスクを念頭にする行動が求められますが、ゲレンデと同じような感覚で入山してくる方が増えているように思います。
