納棺師としての、優しいお見送りと死化粧
納棺師として彼女が語る葬儀の話は、フリップが多く丁寧にまとめられているため、こちらも資料的な価値がものすごく高いアーカイブになっています。そもそも納棺師というのはどういう仕事なのか、なにをどういう流れで行うのかなど、一般的にはあまり知られていない話を、かなり詳細に噛み砕いて具体的にまとめています。
彼女の解説のうまさは言葉の選び方だけでなく、気遣いにもあります。特に納棺は、宗派の問題ややり方の違いなど繊細な事柄なので、そのあたりには踏み込みません。納棺師という仕事が言動にものすごく気を使う立場なのが、ここからも感じられます。
「(接客に関しては)本当に気をつけないとね、人の心を踏みにじる行為になってしまうこともあるので気をつけます」(「【#解説 】本業の納棺師を語る【新人Vtuber / やすらぎこふぃん】」の22分50秒あたり)
体の綿詰めや死化粧についての実体験も語られています。遺族の方と話し合いながら行う死化粧のやり方についての話などは、体験がないとまず想像の及ばない話題。たとえば故人が愛用していた化粧を施してあげられたら、遺族はどんな気持ちでお見送りできるか。彼女はそれを実際に遺族と話してやってきたからこそ、死化粧の大切さをこのような配信で語ることができます。
葬儀の際のトラブルを避けるためでもあり、遺族に対する思いやりでもあり、繊細なプロフェッショナルの仕事ぶりが伝わってきます。このあたりもサラッと語るのがやすらぎこふぃんスタイルではあるのですが、その場でやるとしたら相当慣れていないと、困惑することが多そうな話題だらけ。葬儀のスタイルにもよるのであくまでも個人の見解で、と語っていますが、その思慮と見解の深さには驚かされるばかりです。
この配信では、納棺師バージョンの衣装での配信が行われています。しかも死化粧ができるバージョンのポーズまで準備されています。ものすごく真面目で繊細なトーク配信ですが、VTuberエンターテインメントとしての配信のひとつであるという軸から一切ぶれていないのも、彼女の配信の見やすいところです。
普段の彼女の配信には何種類かのオープニング映像があるのですが、そのひとつとして死化粧をするシーンのアニメーションも用意されています。悲しいシーンとしてではなく、最期を美しく彩るとても大事な、温かい仕事のワンシーンとして描かれています。これが配信オープニングになっているのは、彼女の前向きなキャラクター性を表現しているだけでなく、自身の配信時間は楽しい時間づくりをするためのもの、よい思い出づくりのためのものだという配慮をも感じさせてくれます。
死を考えることで向き合う、ポジティブな終活
終活ガイド1級(一般社団法人終活協議会が運営する「あらゆる終活に関する相談を解決できるスペシャリスト」としての資格)を取得している彼女は、遺書についての解説配信も行っています。
「遺言書」と「遺書」の違いからはじまり、法的効力のある「遺言書」についての重要なポイントを解説してくれます。遺言書の話はかなり複雑な部分も多く、知らないとトラブルになりかねない話題も多いので、一見の価値ありです。やすらぎこふぃんの配信で興味を持って、そこからさらにじっくり調べたくなる、という入り口としてうまく作られています。
中盤からは法的効力のない「遺書」を実際に書く配信を行っています。遺書を書く、というのはなかなか抵抗感が大きな部分もあるかもしれませんが、やすらぎこふぃんは笑いながら、でも真摯に筆を進めています。
家族への感謝や自分の仕事の振り返りを軽快に書きながら、スマホパスワードについて、処理してほしいものについて、葬儀についてポイントをおさえながらまとめています。簡潔な手紙ではありますが、これがあったら家族はどれだけ心理的にも作業的にも助かることか!
自分の死を考えることは、ネガティブな感情ではなく、自身を振り返る前向きな営みであることが、彼女のトークからわかります。好きなものや明るい話題は、死んだときにどう振り返るかを考えたら、よりプラスのものとしてじっくり噛み締められます。彼女が書いた「10月に忍たまのほわぬい(伊作&土井先生)は仏壇に並べて下さい(右並び)」という一文の、ちょっと楽しそうな感じ。見ていて自分も“ちょっと書いてみたい”と感じられるのが、彼女の終活配信の持つ核になる部分なのかもしれません。

