経験者じゃないと語れないゲーム実況の死の現場
納棺師・特殊清掃員としての実績があるからこそできる、興味深いゲーム実況配信も行われています。特にドンピシャなのは「CrimeSceneCleaners|特殊清掃」という、その名もズバリの特殊清掃をするゲームの実況配信でしょう。ゲームはもちろんフィクション。ホラー感が強めですが、実際の現場はどうなのかを写真なども用いながら比較解説しています。
特殊清掃で一番お金がかかる現場はどのような場所なのか、虫の駆除と現場の清掃はどっちが先か、防護服を貫通して臭いはつくか、などの話を聞くと、怖さよりも「大変な作業現場でのプロの仕事」という視点が入るため、ゲームの見え方がガラッと変わってきます。
ハードな現場を見続けているがゆえに、ホラー耐性マックスなのも、やすらぎこふぃんのゲーム実況のユニークなところ。ゲームでは表現しきれない壮絶な話題がたっぷり、日常のこととして語られています。
「日本事故物件監視協会 -Japan Stigmatized Property-」の配信では、特殊清掃作業の際の現場写真を自身のカメラで収めている話なども出てきます。これは特殊清掃の際にビフォーアフターの写真を撮らないといけないからだそう。「友達とごはん食べにいってさ、イエーイってしてる写真の次に体液だらけの現場の写真がいっぱい大量に残ってるとかあるから」(「【 #JSP日本事故物件監視協会 】現役特殊清掃員が現場を語りながら探索するよー!【#vtuber /やすらぎこふぃん】」の1時間10秒あたり)。
その他にも現場ならではの厄介トラブルの話もポロポロ飛び出すので、ゲームの実況が面白くかつ、比較された現実の話も面白い、という二段構えの楽しみ方ができるのも、やすらぎこふぃんならではです。
VTuberの姿で楽しい語りだからできる、死への向き合い方
それぞれの配信に書かれているやすらぎこふぃんの概要欄には、彼女の考えを感じるポイントが詰まっています。
「皆様にやすらぎをおくりびと~!楽しい思い出 納棺しようね🌼」(「【 SILENTHILLf 】ホラー耐性最強なので多分怖くない…はず!【#vtuber /やすらぎこふぃん 】※ネタバレを含みます 」より)
VTuberの配信は、エンターテインメント。楽しい思い出を作るために見るもの、という姿勢がしっかり保たれています。死ぬときの棺の中にたくさんの「楽しかったね」を増やすために、やすらぎこふぃんの配信をフルに楽しもう! ……なんて見方ができたら、どんなに幸せなことでしょう。そんなVTuber配信の楽しみ方、意識的にしないとなかなかできません。
「現役納棺師と特殊清掃を勤めているシスターです!日々死に触れているからこそ、1日1日を大切に、明るく楽しい配信をお届けします!」(「【#初配信 】はじめまして!納棺師シスターやすらぎこふぃんです!【#新人vtuber 】」より)
彼女はこの意識を初回配信からしっかり持って、語っています。
「生き様は死に様に出るの(自論)」と、さらっと語る彼女。なるべく重く語らないようにしつつ、でも事実は事実として見据える。そうであるならば、どう向き合う姿勢を持つかが大事になります。最高の死に様のために、最高の生き様を見せ続けようとするエンターテイナーとしての彼女を見ていると、こちらも楽しむ秘訣のようなものが発見できそうになります。
無理なく人との交流を増やしたり、福祉と連携をとって人との縁をつないでみようとするきっかけになりたい、と彼女は語りました。もし彼女の配信を見ていたなら、ふとしたときに思い出し、ちょっと縁をつないでおいてみようと感じる視聴者が生まれるかもしれない。この可能性によるプラス効果を彼女は忘れず、今も貫いています。
その点で、やすらぎこふぃんがVTuberであるというのは、大きな意味があるように感じられます。リアルな話がどんどん飛び出す彼女のトークですが、かわいらしく温かみのあるアバターをまとって話すことで、ちょうどいい具合のクッションができています。
見ていてドキッとする話は多いものの、変に不安に煽られることもなく、いたずらに恐怖心を抱かせることもなく、威圧感もない。納棺師シスターというキャラクターであることによって、視聴者にそっと寄り添いながら、笑い話も交えながら、気軽に聞けるよう、うまく調整されています。VTuberの接しやすさがフルに生かされている発信方法です。
また、話している内容に関して常に慎重で、強すぎる断言をほとんどしません。
概要欄で「※納棺や特殊清掃の話は、あくまで私の実体験で学んだ知識をお伝えしています。お医者様や葬儀屋様ではないので、誤った情報があった際はDMでこっそり教えてくださると幸いです。また現場内容は一部フェイクを交えてお伝えする場合もあります。ご了承ください」と慎重なのは、彼女がプロフェッショナルだからこそ。彼女自身からエンターテイナーとしての活動の信念は感じられるものの、それを強要はしていません。仕事の話のきつい部分を、知るべきことだと押し付けることもしません。
それでも彼女は話術で話を盛り上げるのがとても巧みなため、最後まで聞きたいと感じさせる柔らかさと知識の興味深さ、人生観を変える重みがあります。
「天寿を全うして亡くなる方もいれば、自死される方、事故で亡くなる方もいらっしゃるから、いつ死んでもおかしくないなと思ったのもあって」という考えから、エンディングノートを書いたり、身辺整理をしたりしていたという、やすらぎこふぃん。その中で見つけた、配信をしたいという思い。彼女自身が配信をとても楽しんでいるのが、彼女の考えの一番の現れのように感じます。
だから彼女も言います。「気軽に手軽にVTuberデビューしてほしい。みんながVになったら見たいと思ってる」(「【#雑談】納棺やご遺体の話多めの雑談!【#vtuber /やすらぎこふぃん】」の1時間1分30秒あたり)。「死」を考える彼女の配信は、やりたいことを達成するだけでなく、増やしていくエネルギーがあり、その力を他の人にも伝染させるだけの活力に満ちあふれています。

