HAMANS CUSTOM 1948 FL

美しいペイントワークやタンクやフェンダーの造形、そしてそれらが渾然一体となった姿など、どこをどう見ても隙がないクオリティに仕上げられたこの一台は滋賀県のハマンズが製作したもの。ちなみにこのマシンは2017年のHCSにて見事、スポットライトのアワードに輝いたのだが、それも納得。ご覧のとおりフィニッシュの姿はかなりハイレベルかつ秀逸だ。これぞ60sスタイルのチョッパーの手本といえるだろう。https://www.instagram.com/hamanscustom/
Indian Larry Grease Monkey

2000年代のチョッパーシーンを語る上で欠かすことができないビルダーの一人であるインディアン・ラリーの愛車、「グリースモンキー」もカテゴライズすると典型的なトラディショナル・チョッパーといえる一台だが、やはりその最大の特徴は“走り”を徹底して追求した部分。
シンプルなリジッドフレームに搭載されるパンヘッドエンジンはYポートをもつSTD製ヘッドに換装され、排気量は1450㏄なのだが、それが軽快な車体と相まって鋭い加速を見せつけるものとなっている。
ちなみにこのマシンの操作系はノーフロントブレーキにジョッキーシフトなのだが、これも可能な限りシンプルに軽く、無駄を省いた車体を求めるラリーの好みを反映したものであり、乗り手の力量ありきの仕様だ。きれいごと抜きであえていえばスタントライド中のアクシデントとはいえ、そんな彼ですら2004年に55歳の若さで命を落とした。チョッパーという乗り物の危うさを、我々は教訓として肝に銘じなければならないだろう。

人気のスタイルだからこそあえて語りたい注意喚起
現在のチョッパーシーンの中で最も高い人気となっている、この手のチョッパーだが、まずはここでもつき合う上での注意点から論じていきたいと思う。
例えば、この手のチョッパーの特徴として『ノーフロントブレーキ』や足でクラッチ、手でシフトを操作する『ジョッキーシフト』などがあるが、初心者が「単純にカッコいいから」という理由で気軽にチョイスするのはズバリいって危険だ。もちろん、チョッパーならではの操作感やスタイルのよさを否定する気は毛頭ないが「わかっている人間がわかった上で乗るべきもの」ということは絶対に理解しなければならない。制動距離や咄嗟のときの危険回避など一般的なバイク以上の慎重さが要求されるのはいうまでもない。
あえてこういうことをいうのは耳のイタイ話かもしれないが、かつてチョッパーが何故、滅びたかを考えれば、ここでいわんとしていることを多くの人がきっと理解してくれるはず。その上で触れるべきということを忘れてはならない。
(出典/「CLUB HARLEY 2025年10月号」)