
板垣李光人さんプロフィール写真
【画像】え…っ! 北川景子級? コチラが「松江藩随一の美女」と言われた「雨清水タエのモデル」人物の娘、実際の「小泉セツ」さんです
モデルよりもだいぶ真面目な三之丞、今後は変われる?
2025年後期のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』は『知られぬ日本の面影』『怪談』などの名作文学を残した小泉八雲(パトリック・ラフカディオ・ハーン)さんと、彼を支え、さまざまな怪談を語った妻の小泉セツさんがモデルの物語です。
第6週28話では主人公「松野トキ(演:高石あかり)」が、松江を去ったはずの実の母「雨清水タエ(演:北川景子)」が、街中で物乞いをしているのを目撃します。さらに29話では、タエの息子「雨清水三之丞(演:板垣李光人)」が、いろんな職場を回って「雨清水家の人間としてふさわしい格があるから社長にしてください」と頼み、追い返されていました。
三之丞はタエの考え方のせいで、雨清水家の人間として「人を使う」立場でしか働けないと思っていたのです。トキは三之丞にタエも連れて松野家で一緒に暮らすことを提案しますが、彼は断ります。その後、トキはタエたちを救うためにも「錦織友一(演:吉沢亮)」から以前提案された、英語教師「レフカダ・ヘブン」の女中となることを決意しました。
※ここから先の記事では『ばけばけ』のネタバレにつながる情報に触れています。
トキは今後、女中としてラフカディオ・ハーンさんと出会ったモデルの小泉セツさんと同じく、ヘブンと結婚して幸せな家庭を築くことは確定しています。セツさんは高給取りのハーンさんの妻になったことで、一時期物乞いをしていた実母・小泉チエさんに仕送りをして、彼女に再びまともな生活をさせてあげることもできました。
史実通りならトキもタエも、借金を抱えた松野家の家族たちもいずれ救われます。一方、実話通りに話が進むと大変な目に遭ってしまうのが、三之丞です。
三之丞は感覚がずれているとはいえ、真面目に働こうと必死になっていますが、彼のモデル・小泉藤三郎さん(セツさんの2歳下の弟)は、セツさんが「幼少の頃の思い出」という手記のなかで「絶交」したと語るような、問題のある人物でした。
セツさんとハーンさんの長男である一雄さんの著書『父小泉八雲』によれば、藤三郎さんは「色白で切長の眼、鼻筋の通った」美男子だったそうです。ただ、一雄さんも藤三郎さんについて、「存生中どれ程我が一家に対して不安を与えたか知らぬ」と語っています。
藤三郎さんは幼少期から父・湊さんに読み書きそろばんを習い、学校にも通わせてもらっていたものの、頻繁に学校をずる休みして、山で鳥を捕まえたり、飼育して卵をふ化させるという趣味に熱中していたそうです。父の会社の経営が傾いてからも、彼は趣味を優先していました。
湊さんは1886年にリュウマチを患い、床に伏していた頃に、急に立ち上がって、馬に使う鞭で藤三郎さんを「不孝者」と罵りながら、滅多打ちにしたという逸話もあります。その後、湊さんの病状は悪化の一途をたどり、彼は1887年5月にこの世を去りました。
藤三郎さんの性格はその後も変わらなかったようで、チエさんに送られた仕送りに依存した生活を送っていたそうです。さらに彼は、とんでもない行動に出て、セツさんたちの怒りを買ってしまいました。それが発覚したのは、1891年11月に仕事の都合で松江を去っていたセツさんとハーンさんが、1896年の夏に帰省した時のことです。
その帰省中にセツさんたちが善導寺という寺にあった墓地に行くと、なんと小泉家代々の墓がなくなっていました。何があったのか寺の僧侶に問うと、以前に藤三郎さんが墓を売り払ったというのです。
それから4年後の1900年7月、藤三郎さんは東京に移住していたセツさんたちの家にやってきました。セツさんはハーンさんに隠れて、20日ほど書生部屋に彼をかくまっていましたが、結局見つかってしまったそうです。
小泉家の墓を売った藤三郎さんを許せずにいたハーンさんは、「あなた武士(サムライ)の子です。先祖の墓食べる鬼となりましょうよりは、なぜ墓の前で腹切りしませんでしたか?」(『父小泉八雲』より引用)と彼を責めたといいます。ショックを受けた藤三郎さんは、自分をかくまってくれていたセツさんにも暴言を吐き、彼女のことも怒らせてしまいました。
その後、その日のうちに汽車で東京を去った藤三郎さんは、その後セツさんたちの前に姿を現さず、1916年に亡くなります。彼の遺体は、松江の小泉家本家の近くの空き家で発見されたそうです(死因不明、享年45歳)。
朝ドラのメインキャラクターが、上記のような悲惨な末路をたどることはないと思いたいですが、三之丞は今のままではまともに生きていくことは難しいでしょう。どこで彼が変わるのか、どんな大人になっていくのかも見どころです。
※高石あかりさんの「高」は正式には「はしごだか」
参考書籍:『父小泉八雲』(著:小泉一雄/小山書店)、『八雲の妻 小泉セツの生涯』(著:長谷川洋二/潮出版社)
