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20歳ストライカー後藤啓介の原点。あの時、ヤマハスタジアムで語った「W杯優勝」の夢は、一本の線となって続いている【日本代表】

20歳ストライカー後藤啓介の原点。あの時、ヤマハスタジアムで語った「W杯優勝」の夢は、一本の線となって続いている【日本代表】


 2025年11月、日本代表に新たな顔が加わった。シント=トロイデンでプレーする20歳のストライカー後藤啓介だ。

「ずっと目標にしてましたし、ここに選ばれるためにシント=トロイデンに来たというのが一つあるので。率直に嬉しく思います。プレッシャーというか、もう自分が一番下手なのは分かってるので。今、自分が持ってるものを全て出し切れるようにという準備をして、頑張ってきたい」

 今回の選出を受けて、クラブを通してそうコメントした後藤は、今からおよそ3年前、ジュビロ磐田のトップチームへの加入(2種登録)会見で、「自分の夢はワールドカップ優勝なので。上手い選手たちから良いところを盗みながら、どんどん超えていきたい」と語っている。そこから後藤の成長は目の前を過ぎ去る風のようだった。

 静岡県の浜松で生まれ、幼少時から熱狂的な磐田サポーターであり、小学校からジュビロのサッカースクールに通い、U-15から正式にアカデミーの選手としてスキルを磨いた。2019年にU-15日本代表に選ばれると、当時はボランチもこなすポリバレントな才能で評価を高めていたが、コロナ禍のためU-17W杯のアジア予選がなくなり、その才能が国際舞台でお披露目されることはなかった。

 しかし、後藤自身は成長を続けて、2022年には天皇杯の東京ヴェルディ戦でトップデビュー。翌23年には正式にトップ昇格を果たすと、ファジアーノ岡山との開幕戦で2得点したのを皮切りに、高校生JリーガーとしてJ2の舞台を戦い抜き、リーグ戦7得点。J1昇格の原動力となった。その過程で、後藤は苦い経験をしている。
 
 同年の夏に開催されたU-20W杯を直前に控えた東京V戦で、負傷交代を強いられたのだ。長いシーズンを考えたら、大きな怪我ではないかもしれない。しかし、世界大会に向けた最終選考の最中という最悪のタイミングだった。そこから1か月後のブラウブリッツ秋田戦で復帰、次のベガルタ仙台戦では3月に行なわれた清水エスパルスとの静岡ダービー以来の得点を決めたが、そこからしばらくゴールが遠かった。

 外目には順風満帆に見えても、どんな選手でも苦しい時期というのはある。後藤にとって、まさしくこの時期がそうだったと言えるかもしれない。転機は2023年8月のFC町田ゼルビア戦だった。この年、J2優勝を果たす町田にアウェーで1-2の敗戦を喫したが、途中投入された後藤が、1点を返す松原后のゴールをアシストした。

「がむしゃらに追い続けたからこそボールが来た」と後藤は振り返る。結果を引き寄せたのは、前田大然を手本にした“諦めない走り”だった。後藤の背中を押したのは、実際に森保ジャパンで前田を指導していた横内昭展監督(当時)だ。「全部を直そうとしなくても、何か1つ戻せば、自然と戻ってくると思うから。何か1つ直せるようにしよう」。その言葉が後藤の身体を前に向けた。

「本当にワールドカップの前田大然じゃないですけど、がむしゃらにボールを追って、チームのために走って。どんなボールでも諦めずに追ってというふうにやっていれば、自分も何かあるんじゃないかなって。そこはシーズン前にできていた部分だったのに、試合を重ねるなかでできなくなっていったと思う。

 そこを直そうと思ってやったら、負けはしましたけどアシストできた。継続して必死にやる。ボールを思い切り追いかけて、笛が鳴るまであきらめないというところを今後、やり続けたい」

 その後藤を見守ってきた横内監督は「啓介は年齢に関係なく戦力になる選手。前線でターゲットになれるし、裏へ抜ける動きも鋭い。技術的にも高いものを持っている。ただ、強度や駆け引きの部分はまだ伸びる余地がある。だけど、彼は本当に貪欲。失敗を恐れずトライし続けることで、どこまでも成長できる」と期待を寄せていた。

 カタールW杯まで森保ジャパンの参謀として、東京五輪世代の三笘薫や上田綺世らの成長を見てきた横内監督の言葉は、後藤にも重く響いていたはずだ。その横内監督からも評価と信頼を勝ち取り、昇格のかかるラスト2試合で先発フル出場という大役を果たした後藤は、夢を追いかけるために、海外挑戦を決断する。
 
 行き先はベルギーの名門アンデルレヒトだった。買い取りオプション付きの期限付き移籍という扱いで、最初はセカンドチーム(フューチャーズ)でのプレーだったが、多国籍の若い選手たちと切磋琢磨しながら、ベルギー2部で得点を重ねて、完全移籍を勝ち取る。そこからトップチームでチャンスを得ると、ベルギーリーグやヨーロッパリーグでもゴールを記録した。

 そのままアンデルレヒトで各国代表クラスの選手と競いながら、チャンスを掴む選択肢もあったが、後藤は異なる環境で、より多くの出場機会と実戦の中での成長を求め、2025-26シーズンはシント=トロイデンに期限付き移籍することを決断。ここまでリーグ戦で3得点を挙げるなど、ベルギーリーグで4位と躍進中のチームで、攻撃の中心的な存在となっている。

 日本代表の森保一監督は後藤に関して「ジュビロでプレーしている時から見ているし、当時の(横内)監督からも、いろいろと情報をいただいた。前田遼一コーチは彼をユース年代から見ていて、どういう素質があるか、どういう成長をしているかを我々も追ってきた」と語り、こう続けた。

「日本から欧州に渡って、アンデルレヒトでなかなか出場機会には恵まれていなかったが、出場時間からすると得点数が多く、得点能力の高さを見せていたと思う。今はシント=トロイデンに移籍してレギュラーを掴み取っている。そのなかでストライカーとして得点力は魅力だと思うが、試合の流れ全般に関わるところ、運動量で多く関わって、最後に得点を取れるのが彼の良いところだと思っている」

 その森保監督が評価したところこそ、まさしく磐田で、当時の横内監督から伝えられたメッセージそのものでもあるように思う。得点を決める才能は誰かに教えられるものではないかもしれないが、その前にサッカーの原点として、あることをひたむきにやり続けて、その先に結果が付いてくる。

「まずはゴールという目に見える結果を出せればと思います。満員のスタジアムで2試合できるので、そういうところも経験したいですし、まずはしっかり出られるようなアピールをしたいと思います。ジュビロのサポーターや今まで携わっていただいた方々も、すごい期待してくれてると思うので。その期待に応えられるように」
 
 あの時、ヤマハスタジアムで語った「ワールドカップ優勝」という夢は一本の線となって続いている。磐田から欧州、さらに世界へ。その大きな一歩を踏み出すことになるが、その先には長い道が続く。

 2年前、当時の横内監督と後藤の将来性について話したことがあった。もちろんカタールW杯まで代表コーチとして、森保監督を支えた横内監督は直に後藤のことを伝えることもできる。しかし、横内監督は「今、僕が推薦したところで、森保監督はしっかり見てますので」と笑いながら、こう続けた。

「僕は一切関係なく、彼の実力で、その座を取ってほしい。失敗を気にせずにトライし続けることができれば、彼は本当に急成長して、一気に変わるものはあるかなと思ってます。もちろん、必ずどこかで壁にはぶつかると思いますけど、乗り越えるメンタルを持ってると思うので」

 これまで後藤啓介という選手の成長に関わってきた人たちや応援してくれるサポーターへの想いを背負いながら、ここからは日の丸も背負う選手として、国民の期待に応えていかなければいけない。ストライカーとしてゴールという結果が、その最も分かりやすい回答であることは間違いないが、原点を忘れることなく夢への道を駆け抜けていってほしい。

取材・文●河治良幸

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配信元: SOCCER DIGEST Web

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