米どころ新潟で「新米ショック」が深刻化している。JA全農にいがたは2025年産米の概算金を一般コシヒカリで60キロ3万円、魚沼産コシヒカリで3万2500円、新之助で3万1000円と過去最高水準に設定。前年の1万7000円から76%増という異例の引き上げで、この水準なら店頭価格は5キロ4000円台が基準になるとみられる。すでに早場米の一部では5キロ7800~8800円という高値でも完売する事例が報じられ、消費者に衝撃を与えている。
米価高騰の波は新潟だけにとどまらない。高知県産のブランド米「よさこい美人」は5キロ7800円という異例の価格で販売され、名古屋市内のスーパーでは佐賀県産「七夕コシヒカリ」が5キロ5980円と前年の約1.4倍に跳ね上がった。さらに島根県でもコシヒカリやきぬむすめの概算金が過去最高に引き上げられ、コシヒカリは60キロで2万8400円、きぬむすめも2万8000円に達した。JAしまねは「店頭価格は5キロで3000~3500円を超える可能性が高い」と見通しを示しており、全国的な米価上昇は避けられない情勢だ。
魚沼産コシヒカリや新之助、ゆめぴりかなど全国のブランド米は、いまや「高嶺の花」となりつつある。早場米の一部はプレミア価格で販売されるなど、「ブランド米=高級品化」という流れは全国規模で拡大。従来の「新米が出回れば安くなる」という常識はいまや完全に崩れ、米市場はかつてない水準に直面している。
こうした状況のなか、家庭では出費を抑えるために3キロや2キロの少量パックを選んだり、直売所や道の駅で比較的安い米を探したり、玄米をまとめ買いして自宅で精米するなど、さまざまな工夫を余儀なくされている。実際、アマゾンでは1万5000円前後の家庭用精米機が爆発的に売れており、1ヵ月で1000台以上売れた商品もある。消費者が少しでも安く米を確保しようと「玄米を精米して食べる」という新しい生活スタイルが広がり始めているのだ。
「新米ショック」は全国規模で拡大しており、価格の早期沈静化は見通せない。ブランド米の高級化が進む一方で、生活防衛の工夫がこれまで以上に求められている。
(ケン高田)

