F1イタリアGPにおけるマクラーレンのチームオーダーは、多くの注目を集め批判の越えも多かったが、アンドレア・ステラ代表はコンストラクターズタイトルを獲得した後も、方針を変えるつもりはないと強調した。
しばらく低迷が続いていたとはいえ、マクラーレンはまぎれもなくF1のトップチームであり、注目を注がれることには慣れている。あらゆる内部決定が公の監視下に置かれることを受け入れねばならない、ということを承知している。
ステラ代表も、イタリアGPでの一件について「世間の関心は当然のことだ」とコメントしつつ、懸念材料だとは見ていない。
「結局のところ、F1のように人気のある世界では常にそうだったのだから」
「境界線はリスペクトされている。その一線を越えなければ、あらゆる意見は受け入れられ、耳を傾けられ、考慮される。しかし最終的に重要なのは、チーム外で語られることではなく、内部で何を行ない、いかにレースを続けていくかという点だ」
マクラーレンは今週末、チーム全体にとって最も重要な成果であるコンストラクターズ選手権タイトル獲得を祝う絶好の機会を迎えている。決勝でワンツーフィニッシュを決めれば、ライバルの成績にかかわらずタイトル獲得を決められるのだ。
ただ、予選が波乱の展開となりランド・ノリスが7番手、オスカー・ピアストリが9番手スタートとなったことで、今週末に戴冠が決まる可能性は低くなった。
しかしステラは、タイトルが確定した後もノリスとピアストリのマネジメント方針は変わらないと強調した。
「これまでのアプローチは変わらない」と彼は繰り返した。
「これはコンストラクターズタイトルの獲得の有無とは関係ない。我々のレース手法は、レースの原則、マクラーレン・レーシングとして体現する価値観、そして将来にとって根本的なチームの結束を守る意志に基づいている」
「毎レースウィークエンド後、我々は自らの仕事と意思決定を分析しており、もちろんモンツァの後も同様だった。実施内容を見直した結果、我々の行動は計画に沿ったものであることを確認できた。今後も同じアプローチを継続するつもりだ」
「したがって、あらゆる可能性にオープンで注意深くある姿勢は維持しつつも、モンツァでの出来事は我々のアプローチを継続する確信を強めたと言える」
マクラーレンがファンに伝えきれていない点が一つある。それは、特定の状況下ではピットウォールがトラック上の展開を決定する司令室となっているのではないかという認識だ。ステラ代表はこの指摘を否定している。
「レースの状況は時に異なる解釈を招き、先述の通りウワサが生じる可能性も理解している。ピットウォールは、ドライバーと事前に合意した行動だけに限定していることを確認できる。これらは最終的に我々の原則とレースへのアプローチとなるルールであり、モンツァでも同様だった」
シーズン終盤が近づくにつれ、ノリスとピアストリの緊張感は高まるだろう。最終局面を迎えると、このスポーツの本質として、空気はより熱を帯び、神経はより張り詰めるはずだ。
マクラーレンもそれは理解しており、コンストラクターズタイトルを既に手中に収めていれば、二人のドライバーを公平に管理することにも注力できると考えている。
アドバンテージが絶対的であれば、その任務も容易だが、ライバルが戦いに介入すれば状況は複雑化する可能性がある。
しかし、一つだけ明らかなことがある。マクラーレンはドライバーズチャンピオンシップの”審判役”にはなりたくないのだ。これは”模範的なタイトル争い”が繰り広げられた2025年を歴史に刻むために乗り越えるべき、最後の障壁である。

