9月21日、スポーツランドSUGOでスーパーGT第6戦の決勝レース(84周)が行なわれた。優勝したのはGT500クラスが24号車リアライズコーポレーション ADVAN Z(松田次生/名取鉄平)、GT300クラスが60号車Syntium LMcorsa LC500 GT(吉本大樹/河野駿佑)だった。
サクセスウエイトがフルで課される最後のレースである今回のSUGO戦は、ライバルを追いかけるチームにとってはハーフウエイト、ノーウエイトの終盤2戦に向けタイトル争いに生き残る上で重要なレース。天候不良の心配もあったが、土曜の公式練習の前半以外はドライコンディションでセッションが行なわれた。
13時40分からの決勝レースは気温24℃、路面温度32℃。直前のグリッドではタイヤのグレイニングを心配している声も聞かれ、予選で履いたファーストスティントのタイヤ、そして後半スティントに履くタイヤにどういったコンパウンドをチョイスするかが勝負の肝と考えられた。
■GT500
GT500のポールシッターは2戦連続ポールとなる16号車ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT。2番手には39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supra、3番手には3号車Niterra MOTUL Zが続いた。いずれも各陣営の中ではウエイトが軽い部類の車両だ。ただ4番手には、サクセスウエイトが上限まで達して燃料流量が3段階ダウンしているポイントリーダー、1号車au TOM'S GR Supraが食い込んできた。
16号車ARTAの天下はスタートから長くは続かず。6周目のホームストレートでは、39号車DENSOを駆る関口雄飛が、16号車を駆る大津弘樹をオーバーテイクして首位の座を奪った。
そのDENSOを脅かす存在となったのが、5番手スタートの24号車リアライズコーポレーション ADVAN Zの松田次生。松田は14周目に2番手に上がると、24周目には関口を抜いて一旦はトップに立つなど見せ場を作った。ただ関口も26周目に負けじと抜き返し、再びリーダーの座に戻った。
ルーティンストップが可能となる28周目、4番手まで上がっていた17号車Astemo CIVIC TYPE R-GT、逆に中団までポジションを落としていた1号車au TOM'Sら5台がピットイン。31周目までに11台がピットインしたが、優勝を争う39号車DENSO、24号車リアライズら4台がステイアウトし“引っ張り”戦略を採った。
24号車リアライズは39周で入って松田から名取鉄平に交代。名取はピットイン組の先頭でコース復帰した後、アウトラップで17号車Astemo、64号車Modulo CIVIC TYPE R-GT、16号車ARTAのシビック3台に立て続けに抜かれてしまったが、ARTA佐藤蓮、Modulo大草りきは抜き返してふたつポジションを取り戻すことに成功した。
トップの39号車DENSOは42周目に関口からサッシャ・フェネストラズに交代。2番手に浮上した17号車Astemoに対して十分なリードを保ってコースに復帰した。
49周目、ホームストレートで大きなクラッシュが発生した。複数台が絡む多重クラッシュであり、GT300クラスの20号車シェイドレーシング GR86 GTとピットレーン入口のバリアに挟まれる格好となった64号車Moduloのマシンは激しく大破した。ただ、ドライバーの大草は堅牢なGT500モノコックに守られ無事だった。
ガードレールの修復による1時間ほどの赤旗中断を挟んで、16時にレース再開。84周の消化はできなくなり時間レースへと変わる中、セーフティカーランで数周先導した後、55周目からリスタートが切られた。
再開後に勢いがあったのは、24号車リアライズの名取。60周目に17号車Astemoを抜いて2番手に上がると、トップを走るDENSOのフェネストラズをロックオンした。時計が残り7分となった65周目の1コーナーで名取はフェネストラズをアウトから抜き去ろうとしたが、縁石に乗りすぎてしまいタイムロス。その差は広がってしまった。
ただDENSOフェネストラズに逃げ切れるほどのペースはなく、背後には24号車リアライズ名取、17号車Astemo塚越が迫った。特に名取は幾度となくフェネストラズにプレッシャーをかけた末に、最終ラップの馬の背でアウト側から並びかけると、SPインで前に立つことに成功し、リアライズが見事逆転でトップチェッカーを受けた。KONDO RACINGにとっては、GT500に限れば2016年以来9年ぶりの勝利となった。2位は39号車DENSO、3位は17号車Astemoだった。
■GT300
GT300クラスのポールポジションは、第5戦鈴鹿で優勝を飾った7号車CARGUY Ferrari 296 GT3。2番グリッドには、その鈴鹿戦で2番手チェッカーも車検不合格で失格となった60号車Syntium LMcorsa LC500 GTが並んだ。ウエイト搭載量、そして給油リストリクターによる給油時間のハンデを鑑みれば、持ちポイントが少ないLMcorsaが有利と言えた。
その下馬評通り、吉本大樹がドライブする60号車LMcorsaは7周目にトップ浮上。7号車CARGUYはいくつかポジションを落とし、代わって4号車グッドスマイル 初音ミク AMGと56号車リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-RがLMcorsaの背後に迫ってプレッシャーをかけた。
そんな中、タイトルを争うチームに波乱が。8番手スタートのポイントリーダー、65号車LEON PYRAMID AMGは3コーナーに進入する際、集団の中で接触がありスピン。大きく順位を落とした。そしてランキング3番手の2号車HYPER WATER INGING GR86 GTはこのスピンの煽りを受け、他車に追突してしまったことでマシンにダメージを負いレースを終えた。
4号車グッドスマイル、56号車リアライズの追撃を交わしていた60号車LMcorsaは、28周目にライバルより早めのピットイン。その甲斐もあってか、4号車グッドスマイルや56号車リアライズがピットに入った後も、事実上のトップをキープしていた。
GT500の先頭が49周目に入った頃、ホームストレートで大クラッシュが発生した。31号車apr LC500h GTと777号車D'station Vantage GT3の接触に起因するアクシデントのようで、クラッシュにより脱落したD'stationのタイヤが直撃した20号車シェイドレーシング GR86 GTも、GT500クラスの64号車Moduloと絡む形で大破した。
赤旗による中断を挟んでレースが再開すると、ステイアウトを続けていた61号車SUBARU BRZ R&D SPORTがピットインしたことで60号車LMcorsaが名実ともにトップに。ライバルからの追撃も交わし、前戦失格のリベンジを果たす今季初勝利を挙げた。2位は56号車リアライズ、3位は666号車seven × seven PORSCHE GT3Rだった。

